第5話

『椿原家の三兄弟』 ②
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2019/04/23 11:16
 家から出てきた人は、一言でいうとイケメンだった。整った端正な顔立ちに、紫色の髪。背は高く、瞳は釣り上がっているように見えるが、そこがクールを演出している。まぁ、一言でいうと女の子にモテそう。

 つまり、あたしの敵だ。だけど、いきなり敵意をむき出しにするのも失礼。あたしにだって、それぐらいの常識はある。それに、これから居候させてもらうんだから、はじめの印象は大切だ。
百合園 香織
百合園 香織
……今日からお邪魔することになってます、百合園 香織です
 一応敵意を向けないように気を付けながら挨拶をする。そして、お辞儀。
椿原 翔
椿原 翔
あぁ、そういや父さんがそんなこと言ってたな……。上がれ、兄さんと弟呼んでくる。あと父さんは今仕事で家にいないから、帰ってきてから挨拶してくれ
 ……思ったよりも、案外丁寧な対応だった。聞いていないとか言われるのかと思って軽くビビっていた。

 そして、話していてわかったこと。この人はきっと見た目通りクール系のイケメンだ。クソッ、憎い……。あたしだって男だったらそこそこモテただろうに……。

 なんて叶わないことを思いながら、椿原家にお邪魔する。中は案外綺麗で、まっすぐ廊下を進むと、あったのはリビングらしき部屋。
椿原 翔
椿原 翔
はい、これでも飲んでちょっと待っとけ。まぁ、うちは男ばっかりだから女が望むような紅茶とかじゃないけどな
百合園 香織
百合園 香織
あ、どうも……お構いなく……
 出されたのは、確かにおしゃれとは程遠い麦茶だった。まぁ、あたし的にはありがたいのだけれど。

 そして、階段を駆け上がる音が聞こえる。きっとさっき言っていた兄と弟を呼びに行ったのだろう。あ、つまり彼は次男か。
百合園 香織
百合園 香織
(……あ~、お茶うめぇ……)
 今は六月の下旬。外はもう暑いし、お茶が八割増しぐらいでおいしく感じられる。いやはや、麦茶は神様ですね~。

 そんなことを思っていると、階段を下りてくる音が約三人分。きっと、さっき言っていた兄弟だろう。その後、リビングと思わしくこの部屋の扉が勢いよく開いた。
椿原 翔
椿原 翔
ほら、連れてきた
 そう言った次男さんが連れてきたのは……少し長めの髪をした見た目俺様系のイケメンと、とても可愛らしい男の子だった――。

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