研磨とお兄ちゃんと一緒に病院へ行った、次の日。
二人は、高校へ行った。
けど、私は……宮城に帰らない。
私は、ずっとお母さんの側にいると、決めたのだ。
残り少ないお母さんの人生は……私が幸せにする。
お父さんと離婚して、大変な事も合っただろう。
一人で子供を育てるなんて、不安ばかりだったと思う。
それでも、私を育ててくれて、お父さんとお兄ちゃんまでできた。
研磨という彼氏もできて
ユースにも選ばれて
烏野に行けば、仲間がいる。
バレーの世界で、夢を見る事が出来た。
今、幸せな人生を送れているのは……全部、お母さんのおかげだから。
一杯一杯愛情をくれて。
お母さんには、感謝しかない。
だからこそ、今、こういう形で、返すよ。
今まで私が貰った「ありがとう」を、今度は私があげる番。
私が、お母さんの残りの人生、幸せにするよ。
そんな決意を胸に、私は病室のドアを開けた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!