7月31日水曜日
今日は、私の誕生日です!
お母さん、覚えててくれるかな?
ワクワクしながら私は病院に向かった。
あなた「おはよ、お母さん!」
夜久真実「おはよ、あなた。」
夜久真実「あなた、誕生日おめでとう!」
あなた「✿゚❀.(*´▽`*)❀.゚✿覚えててくれたの!?」
あなた「ありがとう!」
夜久真実「ふふっ。どういたしまして。」
夜久真実「いやー、お礼に甘いパフェが食べたいなー。」
あなた「ふふっ。しょうがないな〜!笑」
そう言って、お母さんからお金を受け取って病室を出た。
いつの日か一緒に食べたパフェを思い出しながら、ルンルンで購買に向かい、パフェみたいなのを買った。
これ、美味しそうだなーなんて思いながら病室に戻ると、病室の前で看護師さんが集まってるのが見えた。
みんな、何だか忙しそう。
背中に冷や汗が伝う。
私が病室の中で見たものは……苦しげに過呼吸を繰り返すお母さんだった。
あなた「おか、あさん?」
え?
さっきまで元気だったじゃん。
やめてよ。
あなた「お母さん!」
私が駆け寄ると、お母さんは私の手を取った。
夜久真実「……ご、めんね。」
弱々しくそう言うと、お母さんの手から力が抜けた。
あなた「嘘、でしょ?」
お医者さん「10時45分。夜久真実さんが息を引き取りました。」
やめてよ。
ドッキリとかなんでしょ?
こんな急に死んじゃうの?
さっきまで、笑ってたよ。
「誕生日おめでとう」って、言ってくれたよ。
あなた「ねぇ、お母さん?」
問いかけてるのに、言葉が帰ってくることはない。
なんで?
呆然と立ちつくしていると、お兄ちゃんが来た。
夜久衛輔「あなた、母さん!」
あなた「おに、いちゃん。」
私はずっと俯いていることしか出来なかった。
あなた「ごめん。ごめんね。」
私はずっと、自分を責めていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!