あれから一二週間経った
その言葉を言っても帰ってくる言葉はない。
いつもなら、雪に会いに行ってから学校に行っている
でも雪は......
あんなこと言ったけど全然吹っ切れてなんていないッ
雪の家の前を通ると
ガチャッ
今日って.........俺の誕生日だったんだ......
お墓参りもお線香もあげられていない
おばさんに別れを告げ通学路を歩いていく
そうしていたらこんな話が聞こえた
ふざけんなッ...ふざけんなっ!
思いっきり相手の胸ぐらを掴む
「僕にどんなことがあっても感情のままに動かないで」
どこから聞こえ、掴んでいた腕を離した。
男子達はすぐに立ち去って行った
その場に座り込む
会いたい...会いたいよ。
こんなに最悪な誕生日はなかった......
--------キリトリ線--------
ケーキを落とさないようにと持ってくる雪
丁寧に切り分ける雪
--------キリトリ線--------
おもむろにスマホの電源を付けてフォルダーを開く
そして1枚1枚写真を見ていく
1番上にあった最後の雪との写真
高校の入学式の日学校の校門でおばさんに撮ってもらったんだ
次にあった写真は中学卒業の時のクラスでの集合写真だった
でもそこには雪の姿はなかった
何故なら、雪は入らずに撮る側に回されたから。
それでも、心良く受け入れて撮ったのだ
その時の雪の顔はとても、悲しそうだった。
いつもいつも雪に我慢させちゃう
ガチャ
雪がッ...来てくれたッ...
急いで玄関に行くけれど思い描いていた人物とは違った
また部屋に戻ろうとすると
パシッ!
叩かれた......
コイツに叩く権利なんてないのに
ガチャ
お父さんの手にはケーキが入っているであろう箱が握られていた
どうして......
今までこんな事なかった.........
--------キリトリ線--------
ガチャ
フニッ
俺がただ誤解してただけなんだ。
もしかしたら、俺が寂しくならないように雪が導いてたりして......
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。