第24話

待ち続けた
40
2021/01/07 14:18
心詩
雪、今日は雪の誕生日だよ
............
眠ってる雪に話しかけても返事なんて来ない
心詩
今年で17歳だよ雪
心詩
やっぱり雪の誕生日は沢山雪が降るんだね
心詩
雪が降らない雪の誕生日見たことないやニコッ
心詩
っ......
日に日に痩せていく雪にだんだんと不安がつもりにつもる
しばらく髪を切っていない雪は知らない人が見たら女の子に見えるんだろう。
心詩
雪髪長くても似合うってすごいねニコッ
心詩
そうだ、花取り変えるね
心詩
チューリップが懐かしくて買ってきちゃった
心詩
雪が昔頑張って育ててたチューリップ
...............
やっぱり反応はない
萎れかけている花を花瓶から抜き水を取替えチューリップを入れる
心詩
.........
こ.........う、ちゃん...
微かにその声は聞こえた
心詩
ゆきっ!
俺が雪の方に向くとニッコリと微笑んでくれた
雪に付いていた酸素マスクを雪が外しゆっくり起き上がる
心詩
雪っ......
へへっ...
弱く笑う雪は消えそうだった
心詩
ヒクッ...雪...起きるの遅いっ......
ごめんね...ニコッ
スッと雪が手を出す
心詩
えっ?
手...繋ご?
心詩
なんで......
こうちゃん、寂しかったんでしょ?
心詩
うんっ
ギュッと握る
俺の手を握り返してくれる雪の力は弱々しくて手を繋いでる感覚は無かった
力......入んないや...
心詩
大丈夫、俺がちゃんと握ってるから
うんニコッ
心詩
あ、ナースコール押さないと
ねぇ、こうちゃん
心詩
ん?
僕の足、1ミリも動かないよ......
心詩
............
ガラガラッ
医者
おはよう雪くん
...おはようございます。
医者
思ったより元気だね
はい...
あの、......足が、動かないんです......
医者
うん。雪くんは事故で足が動かなくなったんだよ。
ッ......
酷く傷ついた顔をした
当たり前だよね。外に出られるようになったのに、足が動かないなんて
なおら、ないんですか...?
医者
うん、治らないよ。
ッ...
わかり、ました......
医者
検査するから車椅子に乗ろっか
はい...
医者
えーっと
医者が俺の方を見る。きっと名前がわかんないんだろう
心詩
心詩です
医者
心詩くん雪くんを抱っこできるかな?
心詩
はい
心詩
雪首に手回して
うん
ギュッと必死に掴んでる雪が少し可愛く見えた
やっぱり力は弱いから落ちないように背中を支える
医者
じゃぁここに下ろしてくれるかな
心詩
はい
心詩
下ろすよ?
うん
ゆっくりと座らせる
医者
じゃぁ行こうか
行って来るねニコッ...
その笑顔は引きつってた












--------キリトリ線--------
あれから診察が終わって病室
僕とこうちゃんの間には沈黙が流れてる
言わなきゃ、言わなきゃ
こ、うちゃん
心詩
どうしたの?
僕ね、全部思い出したよ
心詩
ほんと...?
うんニコッ
何か特別あった訳じゃない。ただ、起きたら記憶が戻ってただけ...
ギュッ
心詩
良かった...
うん。
ガラガラ
お母さん
雪!
お母さんっ!
ベットから降りようとするけれど動かない足。
上半身だけが動いたからベットから落ちそうになる
心詩
危ないっ...
ありがとこうちゃん。
自分の動かない足に少し苛立ちを覚える
お母さん
雪、そんな怖い顔しないで?
え?
ご、ごめんなさい...
そんなに顔に出てたのかな...
気をつけなきゃ...
ねぇ、お父さんは?
お母さん
今来るわよ
お母さん
途中で飲み物買ってるから
お母さんだけ先に来たんだニコッ
お母さん
そうよニコッ
ガラガラ
お父さん
雪、おはよう
おはよう
お父さん
雪これ
みかんジュース!
ありがとニコッ
お父さん
うん
早く、帰りたいな。
お母さん
そうねニコッ
それから3日後雪は退院した

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