コンコン
ガチャ
雪は退院してから元気がない。
スプーンを持つ雪の手は震えていた
食べる時いつもそうなんだ
いや、ちょっと所の震えじゃない
雪全然笑えてないよ。
ガチャ
--------キリトリ線--------
こうちゃんは僕の車椅子を押してくれる
こうちゃんに迷惑かけてるんだろーな......
こんな自分が嫌いだ。
足が動かなくなって
2階の部屋から1階の部屋になって
部屋から窓を見ると学生が歩いて楽しそうに話してる姿
親子が手を繋いで歩いてる姿
どれも僕はもう経験出来ない
僕は夢もないしそれを叶える力もない
頭も悪いし運動なんて出来やしない
皆の重りでしかない
いつの間にか学校に着いていた
職員室にこうちゃんが入っていく
男子が2人来て僕の車椅子の事を馬鹿にしてくる
スタスタとこうちゃんはいってしまう
知ってた事。先生の対応が冷たいことぐらい
--------キリトリ線--------
もう、放課後。
教室でこうちゃんの事を待たないと
男子3人の中のひとりが僕の車椅子を押す
エレベーターに乗って上に登っていく
僕の事を担いで屋上への階段を登っていく
ガチャ
ドサっと僕の事をおろした
゛障害者 ゛
僕って゛障害者 ゛だったの...?
ポツポツ
男子達はすぐに屋上を出て行った
そして屋上のドアをバタンッと閉じた
立てない僕はドアノブになんて手は届かない
次第に雨は強くなって激しく体を打ち付ける
腕で地面を押して何とかして壁にもたれ掛かる
障害者...障害者...
涙がとめどなく溢れてくる
でも、大粒の雨に涙が溶け涙か雨か分からない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!