第25話

願い
29
2021/01/07 14:18
コンコン
心詩
雪入るよ
ガチャ
おかえりこうちゃん
心詩
ただいま
心詩
外見て何してた?
ボーッとしてただけ
心詩
そっかニコッ
雪は退院してから元気がない。
今日は何してたの?
心詩
今日は特に何もなかったよ
そっか
心詩
ゼリー買ってきた
ありがとニコッ
後で食べるね
心詩
ダメ今一緒に食べよ
お腹空いてないよ
心詩
いーから食べる
夜ご飯食べれなくなっちゃう
心詩
雪はもうちょっと食べなきゃダメ
わかったわかった食べるよニコッ
心詩
よろしいー
スプーンを持つ雪の手は震えていた
食べる時いつもそうなんだ
心詩
ねぇ、雪、
どうしたの?
心詩
食べるの怖いの...?
ッ...
ちょっと...ね...
いや、ちょっと所の震えじゃない
あの人達に......無理やり食べせられたせいかな?ははッ...
雪全然笑えてないよ。
心詩
ごめん雪...無理しなくても
いいんだニコッ
また、こうちゃんと学校行きたいな...
心詩
おばさんに言ってみようよ
でも...
心詩
おばさんはもう雪を縛るようなことしないよ。
ほんと?
心詩
うん
なら...言ってみようかな...
ガチャ
お母さん
雪、いいわよニコッ
えっ?!
いつから聞いてたの...?
お母さん
さっきよ
そっか
お母さん
もう手続きはしてある
お母さん
明日には行けるわ
ありがとうニコッ
心詩
やったね雪
うん!












--------キリトリ線--------
行ってきます笑
お母さん
行ってらっしゃい
お母さん
じゃぁ心詩くん頼むわね
心詩
はい
心詩
じゃぁ行こっか
うん
こうちゃんは僕の車椅子を押してくれる
ありがとこうちゃん
心詩
いいよ
こうちゃんに迷惑かけてるんだろーな......
こんな自分が嫌いだ。
足が動かなくなって
2階の部屋から1階の部屋になって
部屋から窓を見ると学生が歩いて楽しそうに話してる姿
親子が手を繋いで歩いてる姿
どれも僕はもう経験出来ない
心詩
もう、春だね...
心詩
もう少しで高3だよ
そうだね笑
こうちゃんは将来何になりたいの?
心詩
んー......
まだ決まってないんだ
心詩
公務員にはなろうと思う
こうちゃん頭良いもんね
心詩
そんな事ないよ
役場で働くの?
心詩
そうしよっかな
頑張ってニコッ
僕は夢もないしそれを叶える力もない
頭も悪いし運動なんて出来やしない
皆の重りでしかない
心詩
職員室行かないと行けないんだっけ?
うん
いつの間にか学校に着いていた
心詩
先生呼んで来るね
ありがと
職員室にこうちゃんが入っていく
男子
あれ?新谷じゃーん
っ!
男子
車椅子なんか乗ってそんなに目立ちたいのか
男子
それ思ったわ〜
男子が2人来て僕の車椅子の事を馬鹿にしてくる
先生
お前ら〜チャイムなるぞ
男子
あ、さーせんー
先生
お前のクラスはCだ
心詩
先生ッ...お前って...っ!
こ、こうちゃん...ダメだよ怒っちゃ
クラス違うみたいだし教室行っていいよニコッ
心詩
でも...
大丈夫だから
心詩
うん......
スタスタとこうちゃんはいってしまう
先生
いくぞ
はい...
知ってた事。先生の対応が冷たいことぐらい











--------キリトリ線--------
もう、放課後。
教室でこうちゃんの事を待たないと
男子
新谷ちょっとつきあえよ
えっ...?
男子3人の中のひとりが僕の車椅子を押す
ちょっ、ちょっと!
行かない!
男子
黙れよ
男子
ちょっとでいいからさ〜
ッ......
エレベーターに乗って上に登っていく
ど、どこに...
男子
ハイハイ車椅子降りよーなー
やめてっ!
僕の事を担いで屋上への階段を登っていく
ガチャ
男子
やっぱり開いてた
ドサっと僕の事をおろした
男子
荒井もよく犯罪者の子供とつきあえんなー
お母さんとお父さんは犯罪者じゃない!
男子
事実だろ
男子
ほんとにお前不幸だよな〜
男子
親は犯罪者自分は障害者
゛障害者  ゛
僕って゛障害者  ゛だったの...?
ポツポツ
男子
やべっ雨降ってきた
ぇ.........
男子達はすぐに屋上を出て行った
そして屋上のドアをバタンッと閉じた
やっ!開けて!
立てない僕はドアノブになんて手は届かない
次第に雨は強くなって激しく体を打ち付ける
腕で地面を押して何とかして壁にもたれ掛かる
はぁ......はぁ......
障害者...障害者...
僕は違うっ...違うっ...!
涙がとめどなく溢れてくる
でも、大粒の雨に涙が溶け涙か雨か分からない

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