あなたside
白川に小型盗聴器を付けてから一週間が経った。
全くと言っていいほど進展はなく、私たちも少し焦っていた。
まあお金は稼がなきゃいけないからターゲットのことも気になるけど今日も副業の書店員として働いている。
カランコロン(入り口のベル)
そこには依頼主の荒城ゆりちゃんがいた。
そんな話をしていたら突然阿部ちゃんから連絡がきた。
ふっかにそう言われゆりちゃんの家に向かおうとした時、ゆりちゃんに声を掛けられた。
突然なお願いに私たちは困惑した。
下手したら最悪なことが起こってるかもしれない、そんなところに10歳の少女を連れていくのは抵抗があった。
でも彼女の瞳はまっすぐで、連れていけないと断言するのは難しかった。
私はゆりちゃんと一緒にゆりちゃんの家に向かって走っていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!