第26話

#19
1,145
2021/05/05 12:31
あなたside
白川に小型盗聴器を付けてから一週間が経った。
全くと言っていいほど進展はなく、私たちも少し焦っていた。
まあお金は稼がなきゃいけないからターゲットのことも気になるけど今日も副業の書店員として働いている。
深澤辰哉
あなた、漫画棚の整理お願い
あなた
分かったー
カランコロン(入り口のベル)
深澤辰哉
あれ、ゆりちゃん?
荒城ゆり
お久しぶりです
そこには依頼主の荒城ゆりちゃんがいた。
あなた
ゆりちゃん久しぶり、何かあった?
荒城ゆり
いえ、本が欲しかったので。
今日はお客さんとして来ました
深澤辰哉
そっか、ゆっくり選んでいい本みつけてね
荒城ゆり
はい!
そんな話をしていたら突然阿部ちゃんから連絡がきた。
あなた
もしもし、阿部ちゃん?
何かあったの?
阿部亮平
あなた、ゆりちゃんの家知ってる?
あなた
ごめん知らない。
あ、今ゆりちゃんが書店にいるから聞いたら分かるよ
阿部亮平
ゆりちゃんいるの?
あのさ、ゆりちゃんを家に返さないで
あなた
なんで?事情を説明して
阿部亮平
ゆりちゃんの家に何者かが侵入した
あなた
え………
深澤辰哉
あなた、どうした
あなた
ゆりちゃんの家に何者かが侵入したって
深澤辰哉
マジかよ
阿部亮平
あなたかふっかはゆりちゃんの家に向かってほしい、中の様子はまだ分からないから
あなた
私が行くよ
深澤辰哉
うん、それじゃあよろしく
ふっかにそう言われゆりちゃんの家に向かおうとした時、ゆりちゃんに声を掛けられた。
荒城ゆり
ごめんなさい、話聞いてしまいました。
無理なことだと分かってるんです、でもお願いです。
私も一緒に連れてってもらえませんか
突然なお願いに私たちは困惑した。


下手したら最悪なことが起こってるかもしれない、そんなところに10歳の少女を連れていくのは抵抗があった。
でも彼女の瞳はまっすぐで、連れていけないと断言するのは難しかった。
深澤辰哉
ねえゆりちゃん、考えたくもないことが起こってるかもしれないんだよ?
それでも行きたい?
荒城ゆり
はい、例え目を背けたいことが起きていたとしても私は行きたいです
深澤辰哉
そっか………………。
あなた、ゆりちゃんを連れていってほしい
あなた
わかった、じゃあ行こうか
私はゆりちゃんと一緒にゆりちゃんの家に向かって走っていった。

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