夜から朝へ変わっていく街を眺めながら
歩道橋の真ん中でぼーっとただ時が過ぎるのを待ってる
向かいから階段を登って来たカップル
見た感じ夜オールしてやっと帰りってとこやな
あいつ
今日俺が多分連絡来るだろうって思っとったやつ
知らん男に腕絡めて
甘ったるい猫なで声で話す姿に妙に腹が立った
ほら俺って最低やろ?
自分も同じことしとるくせに
相手が浮気だと許せへんやで
でも怒りの後に不安がせりあがってきた
あなたも同じことしとるんやないかって
俺が遊んでる間、あなたも同じ様に遊んでるんやないか
そう考えたら走っていた
ぎぃー
バンッ
午前7時。
あなたはいなかった
あーあ。
何のために仕事してるんだろ
この前も同じ部署の友達が結婚した
アクセサリーショップのショーウィンドウに飾られている指輪を無意識に見てしまったり
今日は仕事じゃないのに
外に出たい気分だった
毎日、暑苦しい電車に揺られて
靴擦れになりながらもちゃんとパンプスを履いて歩いて
大量の資料と向き合いながら眠いつまらない会議と戦う
それを毎週5日から6日。
壱馬くんに対して働いて欲しいなんか言わない
別に働かなくてもいい、生活は決して楽ではないけど出来ないわけじゃないし
でも、他の女の子よりも私は特別でありたい
あーあ。
何のために仕事してるんだろ
この前も同じ部署の友達が結婚した
アクセサリーショップのショーウィンドウに飾られている指輪を無意識に見てしまったり
今日は仕事じゃないのに
外に出たい気分だった
毎日、暑苦しい電車に揺られて
靴擦れになりながらもちゃんとパンプスを履いて歩いて
大量の資料と向き合いながら眠いつまらない会議と戦う
それを毎週5日から6日。
壱馬くんに対して働いて欲しいなんか言わない
別に働かなくてもいい、生活は決して楽ではないけど出来ないわけじゃないし
でも、他の女の子よりも私は特別でありたい
壱馬くんがあんな風になっちゃったのは働いていた会社がブラック企業でお酒に毎晩溺れて
気づいたら仕事に行かなくなってしまった時から
壱馬くんは高校の時の先輩で、有名な大学に入って
あのルックス。モテないわけがない
諦めかけてた時に好きやって言ってくれた
なんでも出来る壱馬くんを私はほんとに尊敬してた
そんな目で見ないでよ
私だって泣きたいんだから
渡されたのは壱馬くんのスマホ。
画面にはLINEが開いてあって
そこには上から順番に私、お母さん、お父さん、男友達数人だけ
女の子は…?
午前8時
人が忙しなく行き交う中人目も気にせず手を繋ぎながら帰った。
あなた
ちゃんと俺、仕事も探すし
将来はぜってぇ結婚してやるから
それまでもう少し
養ってな?
end__________
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。