渡辺side
俺は走って彼女の家に向かう。
そのきっかけは康二からのLINE。
『 なんで家にいるんだよっ、、 』
俺は自分から離れたはずなのに気づいたら
家の前に着いていた。
意を決してチャイムを押す。
しかし何回押しても誰も出ない。
『 …電気ついてる、よな。まさかっ 』
俺はドアを開けてみる。
するとドアは簡単に開いてしまった。
けど、そこには誰もいなくて
残っているのは大好きな彼女の匂いと
康二、目黒の匂いと洗い掛けの食器だった。
『 鍵もかけないで、洗い物も途中で、
男の匂い残してどこいったんだよっ、、 』
あなたに電話をかけてみるが出ない。
なんで繋がんないんだよ、、、
あなたside
私は外に出た瞬間に知ってる匂いに包まれる。
そしていつの間にか目を塞がれて口も塞がれて
身動きも取れない状態になっていた。
やだ、怖い、誰?
車に乗せられた時私は誘拐されているのだと
初めて気づいた。
私の携帯は光を発して必死に震えている。
その画面には ″ 翔太くん″ の文字が光る。
翔太くん、、助けてっ
向井side
めめと他愛もない話をしながら帰っていると
俺の携帯が震える。
そこには ″ 翔太くん″ の文字が光る。
向井「 もしもし?どしたん 」
「 どしたんじゃねえだろ、ふざけてんの? 」
携帯からは怒っている時の翔太の声がした。
けど、少し震えていた。
向井「 え、ちょっと何言ってるんかわからんねんけど 」
「 は?、、康二たちじゃねえの? 」
向井「 待って、なんの話ししてるん 」
「 ったんだよ…っ 」
向井「 え?なんて? 」
「 あなたがどっかにいなくなったんだよ! 」
向井「 え、ちょっと何言ってるん。
彼女さんなら俺ら送ってくれたあと
ちゃんと家はいんの見たで? 」
「 でも洗ってる途中の食器残して…
電話にも出ないんだよ… 」
めっちゃ苦しそうな声が聞こえた。
きっと泣きたいのを我慢しているのと
後悔と不安とが入り交じっているんやろう。
そんな声はめめにも聞こえてたんか
目黒「 え、俺ら居た時洗い物してないよ?
それって誘拐じゃ… 」
俺は翔太くんに電話越しで怒りながらゆーた。
向井「 あほ!いなくなったじゃないやろ!
彼氏ならちゃんと探して救ったれ! 」
…にしてもどこ行ったんやろ、、
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。