あなたside
『 でも…翔太くんはいいの? 』
「 うん。逆にそうしたい 」
なんの話しをしているかと言いますと…
遡ること3分前!
「 あなた? 」
『 どうしたの、そんなに改まって 』
「 俺、さ…同棲したい 」
『 え? 』
「 これまで寂しい思いさせたり危ない目に
合わせたりしたし、俺のいない家に誰かが
行くのやだ 」
そう言って真剣だけど少し恥ずかしそうに
話す翔太くん。
そう、私たちは同棲を始めることになったのです!
『 でも毎日会うのも同棲も嫌なんじゃ… 』
「 あなたは違うの。あなたならしたい 」
『 もうっ…恥ずかしい 』
「 俺まで恥ずかしくなるからやめて?笑 」
『 えへへっ 』
「 …んで、返事は? 」
『 もちろん、したいですっ 』
「 っしゃー。断られたらどうしようかと思った 」
っていって彼の匂いは私を包む。
私が断るわけないのにかわいいな 笑笑
その後彼は朝ごはんを勢いよく食べて
仕事に行く。
『 なんか…いいなぁっ 』
なんて私はまるで翔太くんの奥さんになった
気分になって嬉しくてうきうきする。
こうやってこれから毎日いってきます、
いってらっしゃい。ただいま、おかえり
ってできるんだな〜。
そして時計を見ると9:30をさす。
ん、9:30?…9:30!!!
私は大学の講義に遅刻してしまう!と
急いで用意をして家を出ていく。
『 浮かれすぎは禁物だな… 』
なんていつも通りぼっちの大学で独り言を呟く。
すると周りが騒がしくなり、みんなの視線の先を
見ると…
『 永瀬…くん 』
あれから1回も会えなくて謝れないままでいた。
せっかくのチャンスだけどあの中に行く勇気は
出ない。
永瀬くんは私と目が合うとすぐに逸らす。
まぁ、そうだよね…。なんて思っていたら
口パクで話す。
″ あ と で 裏 庭 に き て く だ さ い ″
周りの女の子にどうしたのなんて言われながら
彼は席に着く。
私はなんで謝ろうなんて考えて講義の内容が
頭に入ってこなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!