鬼はやはり血鬼術を使った。あらゆる物体を自由に操る術だ。恐らく、なかったはずの堂が急に現れたのもこの鬼の血鬼術の仕業だろう。
確かに今の状況はまずかった。3人ともかなり負傷している。鬼の血鬼術のせいでこちらが傷つく一方で、刀が鬼に届きもしない。この3人で強大な鬼を倒すには…。
俺の夢、それは“この目で鬼のいない世界を見る”ことだ。鬼殺隊士になり、先生の家を去る直前に先生と約束した。
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その夢を叶える為に、俺はこんなところで死んでたまるものか。
そう言って俺は鬼に向かって地面を蹴った。
心臓が激しく音を立てる。血液が速度を増して身体中を駆け巡る。酸素が体の隅まで運ばれる。体温が急上昇する。刀に込める力がみなぎる。鬼の細かい動きも見えるようになる。鬼に刀が届く。いける、と思った。後ろには佑作たちがいる。安心して背中を預けられる。今思えば、その気の緩みが、慢心が、俺が足元をすくわれる原因だったのかもしれない。
木を足場にしてもう一度鬼の方へ跳躍する。
刀は鬼の横腹辺りから斜めに肩まで斬り裂く。そしてそのまま頸を狙おうとした、その時だった。
死角から鬼の腕がこちらに伸びてきた。だめだ、間に合わない、殺され…
癸の少年が腕を斬った。が、
鬼の血鬼術により飛んできた大木にぶつかり、遠くに吹っ飛ばされてしまった。
駆け出そうとした佑作の隣に着地し、言う。
それからどれくらい時間が経っただろうか。俺たちはまだ鬼を倒せないでいた。
そして、ついに恐れていたことが現実となる。
また俺の方に腕が伸びてきた。早く、体勢を持ち直せ!刀を構えろ!
グサッ。
赤い血が俺に降りかかる。
鬼の腕が佑作の胸あたりを貫いている。ちょうど、心臓の辺りを。
地面に横たえた佑作が俺の隊服の袖を引っ張る。
どうして俺はいつも大切な人を守れない?大切な人はすぐ俺の前から消えていく。守るために刀を握っても手の平から命がこぼれていくのを止められない。
佑作から離れ、遠くへと逃げる。俺のせいで二人がこうなった。ならその責任は俺が取らなければ。この島から逃げるということはその責任を負わないということだ。
いつもおしゃべりな桜子さんは、こういう緊急事態の時は静かに喋る。とても頼りになる、姉さん気質の俺の相棒。
辛い時こそ笑え、英田灯理。
|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]|・ω・)ノ[終]
佑作ーっ!!佑作が…、佑作が…!
大変なことになりました。佑作は死んでしまったのか、それともまだ生きているのか。それはまだ今は分かりません。それでも灯理くんは前に進むしかありません。鬼を倒すしかありません。佑作と癸の少年のためにも。自分が3人の中で一番動けるのですから。と言っても、彼もかなりボロボロです。限界はすぐそこまで来ています。いや、もう彼の限界は来ているのかもしれません。それでも諦めない。刀を握り続ける。型を繰り出し続ける。
果たして、灯理くんは、佑作は、癸の少年は、どうなったのか。これから灯理くんはどうなっていくのか。まだまだです。始まったばっかりです。
佑作が「あ、おい!!」って言ったところ、どうしても「あおい」って名前を呼んでるようにしか見えなくて、癸の少年の名前が「葵くん」だったらいいなってずっと思ってる。(決めてはない)
第9章にして、展開早過ぎないか??w
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!