俺、英田灯理は農家の長男として生まれた。父さんと母さんは優しい人で、俺が「学問をしたい」と言うと、すぐに学校に通わせてくれた。
さらに俺の下には4人、弟と妹がいる。
次男の流だ。2つ下の弟で物静かな性格だ。
長女の光。5つ下の妹で、名前の通り明るくて素直な子だ。
三男の風太。7つ下の弟でやんちゃ坊主だ。好奇心旺盛で、よく学校の話を聞きたがる。
うしろから抱きついてきたのは末っ子、次女のすみれ。10コ下の妹だ。小さな体で「とー兄、とー兄」とあとをついてくるのが可愛らしい。
俺は自室に荷物を置き、居間で新聞を読んでいる父と、台所で料理をしている母に帰宅を知らせることにした。
父さんは新聞から目を離し、こちらを向いた。
父さんは優しく頭を撫でてくれた。小さな頃から父さんの背中を見て育った俺は、いつか自分も父さんみたいに優しくて寛大な人間になりたいといつも思っている。
母さんは台所で煮込んでいた。恐らく流の言っていたカブだろう。冬になると採れるこの野菜は俺の大好物だ。甘くて柔らかくて煮込むと味がよく染みて。もうカブが採れる季節になっていたのか。
割烹着姿の母さんは申し訳なさそうに頼む。ちなみに“チビたち”というのは下の兄弟のことだ。
本当は長男である俺が率先して手伝いをして家を継いでいかなくてはならないのに、「灯理のやりたいことをやりなさい」と言ってくれるのが俺の両親だった。
俺は幸せだった。俺を優しく見守って、育ててくれる両親と、可愛い弟妹たち。家族がいれば、それで十分だった。他にも何も望むものはない。
それなのに_______________
この世は俺の数少ない幸せをも奪っていく。
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さぁ、いよいよ動き出しますよ。灯理くんの運命が。彼の悲劇的な物語が。
この話、受験勉強していた期間にルーズリーフに書いていたんですけど、今52ページ目(ルーズリーフ26枚分)まで書き終わりました。まだまだ終わりません。きっと70~80ページくらいになるのでは…?100ページとかいくのでは…?
またまた長編です。最後までぜひ、読んでみてください!灯理くんが定められた運命に対してどう立ち向かっていくのか。足掻いていくのか。何が起こって、誰と出会って彼は18年という短い生涯を終えることになるのか…。
ちなみに、灯理くんの弟と妹たち。実は区別方法があるのです。吹き出しだったら名前が出てくるから誰が喋ってるのか分かるけど、カギカッコで書いてると誰がいつ喋ってるのか分からなくなるのです。
その方法は…ずばり!
「灯理くんの呼び方」です!
次男 流くん▷▶︎▷▶︎「兄さん」
長女 光ちゃん▷▶︎▷▶︎「お兄ちゃん」
三男 風太くん▷▶︎▷▶︎「兄ちゃん」
次女 すみれちゃん▷▶︎▷▶︎「とー兄」
こんな感じです。気にして読んでみてください(❁´ω`❁)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。