そうしてみんなに祝福されて、わたしはとても幸せだった。
「人間、誰だって嫉妬の気持ちはあるものよ。」
と、有紗に意味ありげに言われたことはおいといて。
部活…わたしはバンド部に入ってキーボードをやっているんだけど、
その部活が終わってわたしは有紗を探した。
「有紗!帰ろ!」
有紗は吹奏楽部でコントラバスを弾いている。
しかも有紗、美人だから絶対演奏してるところを男子共が見たら
きっと誰でも惚れちゃうだろうなぁ…。
_____誰でも!?まって、だめ!後野はだめ!
とかいう馬鹿なことを考えながらわたしは有紗を見つけ出した。
「あーりーさ!」
有紗をぎゅっとハグしたら、いつもとは比べものにならない強さで私を引きはがした。
「なにすんのっ」
「彼氏さんがいるよ?」
有紗は意地悪くほほえんで、わたしは真っ赤になった。
「こ、後野…」
「天羽。」
あもう、とそうわたしの名前をよんで、後野は少し唇を巻いた。
そして、言った。
「あの、今日じゃなくていいから!
また帰れる日帰…」
まあ、言ったっていうか。言い終わる前に有紗が邪魔をした。
「えー。あたしたちはいっつも一緒に帰ってるの。また帰れる日、なんてないよ?」
悪魔だ。このドS。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。