第10話

episode 10
100
2018/05/27 08:12
「黙ってて有紗。」
ドSな悪魔に対して後野はそう言って…ってえぇ!?
「後野、有紗のこと下の名前で呼んでるの!?」
あたしは叫んだ。大声で。
なになに、とみんなが口々に言い、下駄箱がざわざわとした。



こんなところで叫ぶのはあたしらしくないから、(多分)
2人を手招きして、あたしは裏門に行った。
「もうなに、麻白。」
有紗は、嫌々と、渋い顔をした。
後野は困ったように笑う。
「待って、なんで?」
あたしが大きく主張すると、有紗はなんでもない、という風に首をかしげて見せた。
「うちら幼馴染だし。」
「し、知らなかった…」
結構落ち込む。あたしだって麻白って呼ばれたい…

「人間誰にだって嫉妬の気持ちはあるものよ。」

有紗の声がリピートされた。
嫉妬してるのか?あたし。
「さ、帰るよ麻白。」
有紗はあたしを引っ張ってゆく。
後野ぉぉーーー。
「あ、天羽、また明日!」
後野は少し複雑な表情で、大きく手を振った。
あたしも振り返す。大きく。
「バイバイ!後野!」
有紗は口をとんがらせて、あたしをしゃんと立たせた。
「浮かれてんじゃないよ…」
「え、なに?」
その言葉は聞こえなかったけど。
あたしは有紗との友情に少し疑問を感じた。

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