わたしは、後野のことを思い出しては、ニヤニヤと1人で笑っていた。
もちろん、気持ち悪いのは分かっているけど。
「付き合うことになった!」
と有紗に伝えれば、おめでとう、と暖かく笑ってくれた。
なんていい親友を持ったことでしょう。
昨日の夜そう聞かれて、わたしはどっちでもいいよ、と返した。
後野はじゃあ明日になったらバレてるかも、と語尾に笑を付けて送ってきた。
後野の友達は、やっぱりわちゃわちゃしてる奴が多いから、バレても仕方ないよねって思う。
そして今日。
うわ、随分と情報が回るのが早いみたいだ。
「ね、麻白って後野とつきあってたんだ。」
「昨日の今日だけどね。」
わたしは笑った。否定するつもりもない。だって、いい事だから。
でも、1部の女子はあまり突っこんでこないし、なんだかわたしに敵対心もちろん、を持っている様な気がする。
なんでだろうって、イツメンの子に聞いたら、
「あ、あのグループの子が、後野のこと好きだったらしいよ。」
と、教えてくれた。凄く、申し訳ない…。
その子は、春菜ちゃんといって凄く可愛くて、優等生タイプの女の子だった。
「おめでとう。」
と、春菜ちゃんは優しく微笑んでくれたけれど。
目が笑ってない。目が笑ってない。
春菜ちゃんのグループの子は、強い。
悠美ちゃんっていう美人で気の強い女の子がクラスのボス!って感じの子で、
悠美ちゃんのお気に入りが春菜ちゃんだから…。
あー、やだ怖いなぁ…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。