第6話

episode 6 過去
130
2018/05/08 09:40
回想してみると、後野を好きになったのは、中学二年生の春くらいだったと思う。
もともと後野のことは落としてやろうと思っていた。

人見知りなのに、クラスの中心的存在なんてお年甲斐がありそう。
と思っていたから。
逆に落とされるとは思わなかったけれど。
「♪〜」
ある日、わたしが鼻歌交じりに掃除をしていたら男子がぶつかってきた。
それが後野だった。
「わ、ごめん」
私が謝ることじゃないのは分かっていたけれど
なんだか悪いなぁと思ったので謝った。
「…」
彼は何も言わなかった。
正直は?って思ったなぁ。

でも、まあ人見知りだししょうがないなぁと思って許してやった。
___その一週間後くらいに、休み時間男子が暴れていた。
私の机の周りで。
こりないやつだなぁ。また私に迷惑かけんのかなって思いながら、友達の机でお喋りしていた。
ま、わかっていた通り男子1(名前誰か忘れたの)がわたしの机にドーンとぶつかって、
わたしの筆箱が散らばった。
「あっ」
これは、わたしの声。
「大丈夫?」
と友達が言ってくれた。頷いて筆箱を直しに行ったら、修正テープが壊れていた。
かなりムカついた。

拾う途中、こっそり後野の姿を探した。
私をじっと見ていた。
気持ちは、分からなかった。

少し後野を見上げて、友達に手伝ってもらいながら筆箱の中身を黙々と直した。

プリ小説オーディオドラマ