朝は色々あったけどなんとか病院に着いた
さてと……
あなたのところに行くか
僕はあなたの頭を優しく撫でた
そこから手を頬まで下ろした
温かい……から、生きてはいる…
不安な気持ちを落ち着かせるように自分に言い聞かせた
するとドアがノックされ、誰かが入ってきた
あなたが……目を覚まさない…?
目が覚めなかったら…あなたは………
目元に熱が伝わるのがわかる……
嫌だ……そんなの…僕を置いていくなんて絶対に許さない……
でもっ……このままじゃ……!
僕は怖くなって部屋を飛び出した
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病室を飛び出した僕は近くの公園まで走って絶望していた
あの時、あなたを守れなかった自分を恨んだ
自分への怒りと先程知らされたことへの深い悲しみ……悔しさ…様々なマイナスの感情が混ざりあって訳が分からなくなっていた
いつも持ち歩いているタブレットの中には一兄と二郎、僕とあなたが笑顔で写っている写真が写し出されていた
もう…この笑顔が見られないと思うと我慢していた涙が込み上げてきた
ポツポツとタブレットの画面の上に落ちる涙…
タブレットを抱きしめて僕は静かに泣き続けた
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。