第52話

僕は待ち続ける
819
2022/01/05 04:20
三郎
三郎
ん……
三郎
三郎
もう朝か……
早く支度しないと…
三郎
三郎
ん…?
二郎
二郎
Zzz……
三郎
三郎
うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
二郎
二郎
うぉっ!!
二郎
二郎
な…なんだ……朝から…
三郎
三郎
なんでお前が僕のベットで寝てるんだよ!!!
二郎
二郎
あ~……確か、ゲームやってる間にお前が寝落ちして…ベットに運んだらくっついてきたからそのまま寝たような……
三郎
三郎
なんで細かいところまで覚えてるんだよ…!
二郎
二郎
そういやもう元気なのか……ってそんだけ騒いでたら平気か
一郎
一郎
三郎!
どうした!?
三郎
三郎
あ…
い、一兄……
一郎
一郎
なんかあったのか?
三郎
三郎
い、いや………あの……その…
二郎
二郎
多分、俺が三郎のベットで寝てたからびっくりしたんだと思う
一郎
一郎
なんだそういう事か
昨日は抱き合って寝てたからな
三郎
三郎
え……抱き合って…?
一郎
一郎
はははっ
そう深く考えるなよ
一郎
一郎
三郎も寂しかったんだろ?
三郎
三郎
た、確かに……寂しかったですけど……
二郎
二郎
だったら俺か兄ちゃんに甘えてくればいいのによ……
三郎
三郎
低脳は黙ってろ
二郎
二郎
やっぱお前可愛くねぇ!!
一郎
一郎
はぁ……お前ら…そんな時間があるならさっさと起きろ
二郎
二郎
あぁそっか
急いで準備しないと!
三郎
三郎
すみません一兄
僕も朝ごはんを食べて急いで支度します














朝は色々あったけどなんとか病院に着いた







一郎
一郎
そんじゃあ後で迎えに来るからな
三郎
三郎
はい
お仕事頑張ってください!
一郎
一郎
おう






さてと……








あなたのところに行くか






三郎
三郎
あなた、おはよう
今日は朝から来たよ
あなた

………

三郎
三郎
まだ寝てるのか?
三郎
三郎
そろそろ起きてもいいと思うんだけど…
三郎
三郎
お前が起きないから僕……
夜も寝れなかったし、食べ物も喉を通らなくなって……
三郎
三郎
それで、一兄と二郎に心配かけちゃってさ
三郎
三郎
ほんとっ!
僕って馬鹿だよな!
三郎
三郎
……なんて言っても、返事が返ってくるわけないのに……
三郎
三郎
………寂しいよ…あなた……





僕はあなたの頭を優しく撫でた








そこから手を頬まで下ろした








温かい……から、生きてはいる…








不安な気持ちを落ち着かせるように自分に言い聞かせた







するとドアがノックされ、誰かが入ってきた






寂雷
寂雷
三郎くん…来ていたんですね
三郎
三郎
はい……今日は予定がないのであなたの傍にいようかと…
寂雷
寂雷
あなたさんは…まだ目覚めていないようですね…
三郎
三郎
中々…目を開けてくれなくて……
寂雷
寂雷
そう…ですか……
三郎
三郎
本当にあなたは目を開けてくれるんですよね?
寂雷
寂雷
それは確かにそうなのですが……
三郎
三郎
何かあるんですか?
寂雷
寂雷
本来ならば、もう体は回復し、精神も安定して目を覚ましているはずなんです……
寂雷
寂雷
しかし…あなたさんは目覚める気配がない……
三郎
三郎
…ってことは……!
寂雷
寂雷
はい……あなたさんはこのまま目覚めない可能性があります…
三郎
三郎
ッ……!





あなたが……目を覚まさない…?








目が覚めなかったら…あなたは………









目元に熱が伝わるのがわかる……






嫌だ……そんなの…僕を置いていくなんて絶対に許さない……







でもっ……このままじゃ……!







寂雷
寂雷
三郎くん!!







僕は怖くなって部屋を飛び出した







寂雷
寂雷
やはり…伝えない方がよかったのかもしれないね……
あなた

カハッ…!

寂雷
寂雷
ッ!
あなたさん…!






―――――――――――――――――――――――――――――













病室を飛び出した僕は近くの公園まで走って絶望していた





三郎
三郎
あなたが……目を覚まさないなんて…





あの時、あなたを守れなかった自分を恨んだ







自分への怒りと先程知らされたことへの深い悲しみ……悔しさ…様々なマイナスの感情が混ざりあって訳が分からなくなっていた








いつも持ち歩いているタブレットの中には一兄と二郎、僕とあなたが笑顔で写っている写真が写し出されていた








もう…この笑顔が見られないと思うと我慢していた涙が込み上げてきた







ポツポツとタブレットの画面の上に落ちる涙…








タブレットを抱きしめて僕は静かに泣き続けた


















―――――――――――――――――――――――――――――






寂雷
寂雷
あなたさん!!聞こえますか!!
あなた

カハッ……ハァ…ハァ…

寂雷
寂雷
少し落ち着きましたか……
しかし……いきなり咳き込むなんて…一体なぜ……
あなた

せん…せ……

寂雷
寂雷
ッ!?
あなたさん!
あなた

ここは……?

寂雷
寂雷
シンジュク中央病院です
中王区であなたさんが倒れたのですが、覚えていませんか?
あなた

中王区で……?
……あんまり覚えてないです…

寂雷
寂雷
そうですか…
でも、目が覚めてよかったです
三郎くんも喜ぶでしょう
あなた

三郎は…いないんですか?

寂雷
寂雷
先程までここにいたんですが…
私が三郎くんを不安にさせるような事を言ってしまいまして…
病室を飛び出してしまったんです
あなた

そう…ですか……

寂雷
寂雷
心配いりませんよ
三郎くんのバックも置いてありますし、一郎くん達が彼を迎えに来ると思うので待ってあげてください
あなた

はい…

寂雷
寂雷
それでは私は失礼します
仕事もありますし、君も少しは落ち着きたいだろうからね
あなた

すみません…ありがとうございます

あなた

三郎……早く戻ってこないかな…

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