あなたside
『はぁ~…………』
今、私は親友の美咲の家で今日何回目か
分からないため息をついている
美「そんなにため息ついてたら幸せ逃げてくよ~」
『もう逃げてるもん~!』
今日の朝、駅前のカフェで朝食をすませ
至っていつもと変わらないように出社した。
…つもりだったのだが、彼女にはバレてしまった
ビールを飲んで少し酔っているのもあるけど
なかなか気持ちが高揚して落ち着かない
『うぅ~』
翔くんとのトーク画面はずっと開いたまま。
美「だったら送らなければよかったじゃん」
『どんな顔して帰ればいいのぉ~』
美「…でも明日には帰るんでしょ?」
「で、どうするの?別れるの?」
『どうするのって言われても……』
私は持っているビールの缶を片手で遊ぶ
美「そもそもほんとに翔さん浮気してるの?」
『……してるんじゃない??』
美「ブレスレットも置いてきて……」
「翔さん心配してると思うよ?」
『浮気したのはそっちじゃん、』
“あのねぇ~”と言いながら私の頬を両手で挟む彼女
美「まずは翔さんとしっかり話し合うこと!」
「そして自分の気持ちをよく考えること!」
『いぇも………』
頬を挟まれているから上手く発音できない
ちなみに今は“でも………”と言ったつもり
美「でもじゃない!中途半端な態度は
翔さんにも失礼だよ!」
「好きなんでしょ?ならちゃんと伝えなきゃ」
こういう時にいつもこうやって私を正しい道へ
導いてくれる自慢の親友
『……分かった。…ありがと』
美「で、このタイミングでKYなんだけど、」
『???』
美「じゃーーん!!!」
そう言う彼女の左手の薬指にはキラリと光る指輪
いつの間に…翔くんのことばっか考えてて
全然気が付かなかった
『相葉くんから?』
美「他に誰がいるっての!!」
『てことは…?』
美「なんとプロポーズされちゃいました!!」
このタイミングでかよっ!!
とツッコミたくなるところだがおめでたいこと。
『おめでとうううう~😭😭』
美「あぁあなたありがとおおおお😭😭」
「あなたのことも応援してるよ~😭😭」
『ありがとうううう😭😭』
その日は夜遅くまで女子トークをして盛り上がり
いつもとは違う景色に少し寂しく思いながら
静かに目を閉じた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。