第10話

#10
643
2019/11/29 09:55
あなたside




『…いってきます』
 




今日は三連休の中日である日曜日




“美咲と出掛ける”という嘘でもあり、




出掛けるための口実でもある事を彼に伝える


まだ彼とは仲直りしていなくて、





「…俺も出掛けるわ」





という短い返事があっただけ。



『昼過ぎには帰ってくるね』


まだ少し冴えない表情の彼に


そう言葉を残し、家を出た


___________________


少し、冷え込んできた夕方。



ほんとならもう家に帰っているはず、



だったんだけど私はまだ広くて青い空の下。


『電車が遅れてるなんてついてない、』



人がホームに飛び降りて、という聞いた事のある


ような事が現実に起こり、今私はそのおかげで


家に帰れなくなっている

タクシーを、と思ったけれどスマホの充電は



切れておりお金もあまり無い。


『…歩いて帰るしかない、か』


『ヒール、履いてこなきゃ良かったな~』



なんて呟きながら、手に持っているカバンを




ブラブラさせて歩を進める


??「……い、あなた……!!」




誰かがなんか言ってる……

??「お……い……あなた……!!」



声がだんだん近づいてくる

??「……おーい!!あなた…!」

その声は……



『み、三木くん!?』


三木「おう!こんなとこ歩いてどうした?」



『いや、電車乗れなくてさ~、


三木くんこそこんな所でどうしたの?』


三木「んー俺はたまたま通っただけだよ」



「てか、ここから歩いて帰るわけ?」



『うん……お金もないし歩くしかないなぁって笑』


三木「…乗せてこうか?」



『いや!いいよ!歩いて帰れるし、!』


三木「無理すんなって、足も痛そうだし」


『う……それはそうだけど、、』


三木「ほら、たまにはさ、俺に頼れよ」


『…分かった。じゃあよろしくお願いします…』


ということで、私は半ば強引な形で



三木くんの車に乗せてもらうことになった。






家も近くなってきた頃、私は慌てて彼に言った




『あ、じゃあここら辺で大丈夫』





三木「ほんと?家の前まで行くよ」




『あ、ほんとに大丈夫だから!!』





三木「そう?ならいいけど」





『じゃ、乗せてくれてありがとう!』



半分逃げるような形になってしまったのは



万が一翔くんと遭遇した時にバレたくないから。




彼の車が見えなくなったのを確認してから




残り僅かな家への道のりを進む

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