思えば代わり映えのしない学生生活だった。
6時間授業の時には溜息をついたり、お昼休みには友達と喋ったり、授業中は時計とにらめっこしたり。
何処の学生も皆、経験したであろう、そんな3年間だった。
少し早い卒業アルバムを貰って、卒業式が近付いてくる事に寂しさと、少しの希望持っていたっけ。
皆、受験だってバカ騒ぎしてたっけ。
卒業式まで復習の授業が続いて、今までと変わらない日々を送って、あっという間に卒業式。
朝から両親が慌ただしく準備をしていて、卒業式なんだと実感した。
名前が呼ばれて、卒業証書が渡されて、ふるさとを歌って、卒業式は呆気なく終わって。
なんの後味も無く。 大泣きする友達と写真を撮って、家族でご飯に行って____。
味のないガムの様だった3年間だった。
それでも、私には沢山の想い出があった。
私は今日、中学校を卒業した。
それらを裏付けるように、やわらかな春風が私の頬を撫でた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。