第5話

スイの家系能力
348
2022/11/03 06:13
スイ
スイ
それじゃあ、もう結論から言っちゃうね。
しん、とした空気の中、スイはそう言った。
イルマ
イルマ
うん…。
スイ
スイ
アスモデウスさんが僕を危険だって言うのも、スカーレット家が“感情の支配者マリオネットマン”なんて大層な2つ名で呼ばれるのも、スカーレット家の家系能力のせいなんだ。
ジャズ
ジャズ
その、家系能力っていうのは…?
スイ
スイ
スカーレット家の…僕の家系能力は、“暗示サジェスト”。
スイ
スイ
その名の通り、相手に暗示をかける事ができるんだ。
リード
リード
…それだけ?
リード
リード
えっそんな危険なの?
そう言うリードを見て、アスモデウスはひとつため息をつく。
そして、こんな事を言った。
アスモデウス
アスモデウス
…スイ。この馬鹿に1回かけてやれ。
スイ
スイ
えっ?
アスモデウス
アスモデウス
百聞は一見に如かず、だ。解除はできるのだろう?
スイ
スイ
いや、できるけど…。
スイ
スイ
でも、あんなに恐れてたのに、いいの?
アスモデウスの今までの発言から、自分のクラスメイトを実験台にするような悪魔には思えなかったのだけれど、次の言葉でスイは全てを理解した。
アスモデウス
アスモデウス
イルマ様に害が及ばなければ構わん。
リード
リード
え待ってアズアズ僕の事見捨てたの?
スイ
スイ
ならいっか。
リード
リード
ちょっスイくんまで!?
ジャズ
ジャズ
リード…頑張れ。
リード
リード
ジャジー!?
皆に冷たくあしらわれ、リードは机に突っ伏しうっうっと泣きじゃくる(まぁ半分演技だが)。
そんなリードの横にスイは移動すると、つんつんとリードの肩を叩く。
スイ
スイ
リードオニーサン、大丈夫?
リード
リード
うわあぁぁスイくんぅぅぅ~。
心配してもらえて思わず顔を上げたリードとスイはしっかり目を合わせ、そして魔力を込めた言葉を紡ぐ。
スイ
スイ
あなたは眠りたくなるYou want to sleep
リード
リード
っ!?
リード
リード
あれっ…何だか…急に…眠、く……。
リードはスイの言葉を聞いて一瞬目を見開き、そして眠そうに瞼を下げ、また机に伏せてしまった。
ジャズ
ジャズ
り、リード…?
リード
リード
すぅ…すぅ…。
ジャズ
ジャズ
寝てる…?
スイ
スイ
うん。
スイ
スイ
これが僕の家系能力だよ。
スイはそう言いながら、リードの近くでパチンと指を鳴らす。
イルマ
イルマ
その、指を鳴らすの、昨日もやってたよね…?
ふと思い出してイルマがそう聞いてみると、スイはうんと頷いた。
スイ
スイ
これには“暗示サジェスト”でかけた暗示を解く効果があるんだ。
スイ
スイ
リードオニーサンにかけた暗示も今解いたから、多分10分ぐらいすれば起きるよ。
イルマ
イルマ
そっか。
エリザベッタ
エリザベッタ
でも、こうやって解除もできるならどこが危険なのかしら…?
エリザベッタの発言に、アスモデウスは冷たい声で返す。
アスモデウス
アスモデウス
よく考えてみろ。今スイが使ったのは「眠りたくなる」という暗示だが、なら例えば「死にたくなる」という暗示をかけたらどうなる?
エリザベッタ
エリザベッタ
あっ…。
イルマ
イルマ
それは…。
その返答を聞いて、皆はようやくスイの家系能力の恐ろしさに気付いた。
スイ
スイ
…アスモデウスさんの言う通りだよ。
スイ
スイ
僕の家系能力は、使い方によっては悪魔を壊す事だってできるの。
スイ
スイ
…だから、僕と関わるのは危険だってアスモデウスさんは言ったんだよ。
悲しげな瞳でそう語るスイに、誰も何も言えなかった。
スイはそんな様子をみて、じゃあ、と立ち上がる。
スイ
スイ
もう時間も時間だし、僕は帰るね。
イルマ
イルマ
ま、待って、スイくん…!
スイ
スイ
…さよなら、皆。
イルマが引き止めようとするのを無視して、スイは王の教室ロイヤル・ワンを去っていった。
スイ
スイ
(やっぱり、そうなるよね…。)
スイ
スイ
(もしかしたら、って思った僕が馬鹿だったや。)
そう考えると涙が溢れてしまいそうになって、スイはぽつりと呟く。
スイ
スイ
僕は悲しくなんてないI'm not sad
アスモデウス
アスモデウス
…………。
その様子を、アスモデウスは窓から眺めていた。



*     *     *


作者
作者
さてさて今回はこの話でかなり重要になってくるスイくんの家系能力が明かされましたね。
作者
作者
はぁ…何でこんなに闇が深い能力になったのか…。
作者
作者
なおこの能力使いようによってはアメリ会長の幻想王ロマンチスタみたいな使い方ができるので強いっちゃ強いんですよね。
作者
作者
これからどうなるのか。乞うご期待!(((
作者
作者
ではまたっ。バイバイッ。

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