しん、とした空気の中、スイはそう言った。
そう言うリードを見て、アスモデウスはひとつため息をつく。
そして、こんな事を言った。
アスモデウスの今までの発言から、自分のクラスメイトを実験台にするような悪魔には思えなかったのだけれど、次の言葉でスイは全てを理解した。
皆に冷たくあしらわれ、リードは机に突っ伏しうっうっと泣きじゃくる(まぁ半分演技だが)。
そんなリードの横にスイは移動すると、つんつんとリードの肩を叩く。
心配してもらえて思わず顔を上げたリードとスイはしっかり目を合わせ、そして魔力を込めた言葉を紡ぐ。
リードはスイの言葉を聞いて一瞬目を見開き、そして眠そうに瞼を下げ、また机に伏せてしまった。
スイはそう言いながら、リードの近くでパチンと指を鳴らす。
ふと思い出してイルマがそう聞いてみると、スイはうんと頷いた。
エリザベッタの発言に、アスモデウスは冷たい声で返す。
その返答を聞いて、皆はようやくスイの家系能力の恐ろしさに気付いた。
悲しげな瞳でそう語るスイに、誰も何も言えなかった。
スイはそんな様子をみて、じゃあ、と立ち上がる。
イルマが引き止めようとするのを無視して、スイは王の教室を去っていった。
そう考えると涙が溢れてしまいそうになって、スイはぽつりと呟く。
その様子を、アスモデウスは窓から眺めていた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。