第3話

放課後のお誘い
370
2022/10/29 23:27
そして問題児クラスの生徒達と話しながらイルマが来るのを待つ事10分程。
王の教室ロイヤル・ワンにイルマがやってきた。
イルマ
イルマ
おはよー、皆!
イルマ
イルマ
…って、昨日の子?どうしたの?
イルマはスイの姿を見ると、そう首を傾げる。
スイはそんなイルマの前に立つと、ハンカチを差し出した。
スイ
スイ
えっと、昨日はありがとうございました!
スイ
スイ
それと、これ、昨日落としていったので…。
イルマ
イルマ
あっ!それ、探してたんだ!ありがとう!
「おじいちゃんにもらったやつでさ…」と話すイルマを見て、返しに来て良かったな、とスイは思う。
スイ
スイ
じゃあ、僕はこれで…。
そして用も済んだのでそう言ってここを去ろうとしたのだが…。
リード
リード
えー?もう行っちゃうの?
エリザベッタ
エリザベッタ
そうよ。もうお別れなんて寂しいわ…。
スイ
スイ
えっ…えっ?
思ったよりもスイは問題児アブノーマルクラスの皆に気に入られたようで、別れを惜しむ声が上がる。
スイ
スイ
でも…そろそろ行かないと予鈴に間に合わないから…。
ジャズ
ジャズ
そうか…。
しゅん、としている皆を見て心が痛まないわけがないけれど、始業に間に合わなくて先生に怒られるのも困るので、スイはそう説得しようとする。
が、そこでイルマの口から思いがけない提案が飛び出た。
イルマ
イルマ
なら、放課後またここに来てよ!ハンカチのお礼もしたいし…。
スイ
スイ
えっ!?
リード
リード
いいじゃん!僕もまだ話し足りないしさ!
ジャズ
ジャズ
俺もいいと思う。
エリザベッタ
エリザベッタ
私もまだスイくんと話したいわ♡
しかし問題児アブノーマルクラスの皆はそれを迷惑だと思うどころか歓迎してくれるようなので、
スイ
スイ
分かった。ならまた放課後に来るね!
そう言い王の教室ロイヤル・ワンを出ていった。
イルマ
イルマ
うん、またね!
イルマは手を振りながら彼の姿を見送ると、腕を降ろし授業の準備をしようとして、そしてちょうどスイと入れ違いでアスモデウスとクララが教室に入ってきたのを見てそちらに駆け寄った。
イルマ
イルマ
おはよう、アズくん、クララ。
アスモデウス
アスモデウス
おはようございますイルマ様!
クララ
クララ
おはようイルマち!
イルマの姿を見て、アスモデウスとクララはパアッと顔を明るくし、元気よく挨拶した。
イルマ
イルマ
2人共先生に呼び止められてたけど何かあったの?
アスモデウス
アスモデウス
いえ、そんな大した事ではありませんでした。
クララ
クララ
私も!
イルマの質問に2人はそう返し、そしてしゅんと眉を下げる。
アスモデウス
アスモデウス
しかし不可抗力とは言えどイルマ様と共に教室に行けずすみません…。
イルマ
イルマ
いやっ、そんな謝るような事じゃないよ…!
クララ
クララ
でもイルマちと一緒に行けなくて寂しかった…。
イルマ
イルマ
そっか…。
イルマが微笑みながらクララの頭を撫でていたら、アスモデウスがそういえば、と口を開く。
アスモデウス
アスモデウス
ここに入る時に見覚えのない生徒とすれ違ったのですが、お知り合いですか?黒髪に赤い目の…。
イルマ
イルマ
あぁ、スイくん?
イルマ
イルマ
さっき僕のハンカチを届けに来てくれたんだ!それで、お礼をするために放課後にも来てもらう事にしたの!
イルマ
イルマ
良い子だからアズくんもきっと仲良くなれるよ!
笑顔でそう話すイルマを見て、アスモデウスの表情が少し暗くなった。
アスモデウス
アスモデウス
…ちなみに、その少年、名字は何と言うのですか?
イルマ
イルマ
え?確かスカーレットだったと思うけど…。
アスモデウス
アスモデウス
スカーレット…。
アスモデウスは神妙な面持ちでそう繰り返し、顎に手を当て思案する。
そんなアスモデウスを、イルマは不思議そうな顔で見た。
イルマ
イルマ
どうしたの?何か変な事でもあった?
アスモデウス
アスモデウス
いえ、何でもありません。
しかしぱっと表情を元に戻し、アスモデウスはそう返す。
なのでイルマも特に追及せず、「そっか」とだけ返した。
アスモデウス
アスモデウス
(放課後…少し話を聞かなければいけませんね…。)



*     *     *


作者
作者
最後がちょい不穏ですね…。
作者
作者
まぁ開始早々そんな暗い展開にするつもりはありませんけど()
作者
作者
ではまたっ。バイバイッ。

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