第2話

問題児クラス
444
2022/10/27 07:01
そして次の日の、朝。
スイはハンカチを返すため問題児アブノーマルクラスの生徒達がいる王の教室ロイヤル・ワンまで来ていた。
スイ
スイ
(うわぁ…。やっぱり豪華な建物だなぁ…。)
スイ
スイ
(ここまで綺麗だと、やっぱり入るのに躊躇っちゃうよね…。)
スイがそう思いながら入り口の辺りをうろうろしていたら、後ろから声をかけられた。
リード
リード
やっほー!僕達の教室に何か用かな?
スイ
スイ
あっ、若王の…!
リード
リード
おっ、僕の事知ってるの?
スイ
スイ
はい。収穫祭の時、イルマさんと協力して見事優勝したっていう…えっと、リードさん、ですよね?
リード
リード
そうそう!いや~、覚えててくれて嬉しいなぁ!
リードはスイの言葉を聞いてデレデレと鼻の下を伸ばす。
そんなリードの横で、スイは「後…」と付け加える。
スイ
スイ
女装して踊ってました、よね?確かリンd…むぐっ
リード
リード
ちょっ!?その事は言わないで!?
リードの中で一二を争う黒歴史に言及されて、リードは慌ててスイの口を塞ぐ。
リード
リード
それは絶対秘密にして!ね?
リードがあまりにも必死なのでスイはこくこくと頷く。
それを見て、リードはスイの口から手を離した。
リード
リード
…で、何の用で来たの?
スイ
スイ
あっ、イルマさんのハンカチを拾ったので届けに来ました。
スイはそう言いながら鞄の中から昨日拾ったハンカチを出す。
リード
リード
あー、確かにイルマくんのだね、それ。
リード
リード
なら入ってよ!多分イルマくんが来るまでもう少しかかるだろうし、ずっと立ってるのも疲れるでしょ?
スイ
スイ
えっ…いいんですか?
リードの申し出にスイは目を見開く。
かつて魔王がいた教室に僕なんかが入ってもいいのか、と戸惑うけれどリードは「いいよいいよ」と笑う。
リード
リード
それとさ、タメ口でいいから!キミ、1年生でしょ?
スイ
スイ
うん、分かった。
スイ
スイ
よろしくね、リードオニーサン。
リード
リード
おっ、オニーサン…?
スイが自然と発した言葉に、リードはむず痒いような気持ちになる。
末っ子であるリードは兄などと呼ばれた事はなく、そういう言葉には慣れていなかった。
スイ
スイ
えっと、僕は今年で14歳だけど、リードオニーサンはもう15歳でしょ?だからオニーサンかな、って…。
リード
リード
いやいやいやいや全然いいんだよ!?オニーサン呼びでいいからね!?
スイ
スイ
う、うん。分かった。
リードに食い気味でそう言われ、少し引きながらもスイは頷き、リードの後について王の教室ロイヤル・ワンに入った。
スイ
スイ
すごぉい…!すごく綺麗なんだね!
リード
リード
でしょ?
リードは自分が作った訳でもないのになぜか得意げになりながら、教室へ向かった。
そこでは、問題児アブノーマルクラスの生徒の内数人がわいわいと話していた。
ジャズ
ジャズ
おっ、リード。おはよう。
リード
リード
おはよー、ジャジー!
エリザベッタ
エリザベッタ
あら?リードくん、その男の子は…?
ケロリ
ケロリ
見覚えのない子ね…。
視線がこちらに集まってきて、スイは少し居心地が悪そうに視線を逸らす。
リードはそんなスイを励ますように両肩に手を置くと、皆に説明をし始めた。
リード
リード
この子は…あれっ、名前何だっけ?
ジャズ
ジャズ
おいおいリード?w
出だしから躓いているリードに、皆がずるっと身体を滑らせた。
スイはそれを見て頬を緩めながら名乗る。
スイ
スイ
えっと、スイ、だよ。スカーレット・スイ。
リード
リード
そうそう、スイくん!
リード
リード
何かイルマくんに用事があるみたいだから、ここで待っててもらう事にした!
スイ
スイ
迷惑じゃなかったら、ちょっとお邪魔してもいいですか…?
ジャズ
ジャズ
もちろん。俺は歓迎するよ。
エリザベッタ
エリザベッタ
私も大丈夫よ。
ケロリ
ケロリ
私も…。
少し緊張しながらスイがそう問うけれど、皆は笑顔で受け入れてくれる。
スイ
スイ
ありがとうございます。
スイ
スイ
えっと、名前を教えてもらってもいいですか?
ジャズ
ジャズ
俺はジャズ。後、タメでいいから。
スイ
スイ
うん、ジャズオニーサン。
ジャズ
ジャズ
ぐっ…!
にっこり笑顔でオニーサンと呼ばれ、ジャズは胸の辺りを手で掴む。
ジャズ
ジャズ
(これは…ちょっと…兄貴心をくすぐられるというか…。)
兄でも何でもないジャズがそう考えている横で、今度はエリザベッタが自己紹介をする。
エリザベッタ
エリザベッタ
私はエリザベッタ。私に対してもタメ口でいいからね。よろしく、スイくん。
スイ
スイ
エリザベッタさん、か…。
スイ
スイ
なら、エリザオネーサンだね。よろしく!
エリザベッタ
エリザベッタ
まぁ♡
リード
リード
ちょっちょっちょっスイくん!?あんま姐さんに馴れ馴れしくしないでよ!?
エリザベッタがスイに好感を抱いていそうな様子を見て、リードはバッと2人の間に割って入る。
そしてリードの慌て方を見て、スイは何となく2人の関係を察する。
スイ
スイ
ふ~ん。
スイ
スイ
…でもね、リードオニーサン。
リード
リード
ん?
スイは背伸びしてリードの耳元に口を寄せると、小さな声でこう言った。
スイ
スイ
余裕がある悪魔の方が好かれると思うよ?
リード
リード
っ…!
リードはそれを聞き大きく目を見開く。
その反応をスイは楽しそうに眺めながら、まだ名前を聞いていない水色の髪の悪魔に目を向ける。
スイ
スイ
それで、そっちのオネーサンのお名前は?
ケロリ
ケロリ
くっ、クロケル・ケロリ。よろしく。
スイ
スイ
よろしくね!…あっ、タメで良かった?
ケロリ
ケロリ
うん、大丈夫…。
口数の少ないケロリを見て、スイは人見知り気味の悪魔か、とぐいぐい行き過ぎた事を少し後悔する。
しかし、実際はそうではなかった。
ケロリ
ケロリ
(スイくん…中々かわいいわね。)
ケロリ
ケロリ
(メイクをして、あんな感じの衣装を着せたらきっと良いアクドルに…。)
リード
リード
(…?ケロリンの様子が何かおかしい…というか危ないような…。)
リードはその事を経験則からかうっすらと察したが、何も言わなかった。



*     *     *


作者
作者
「1話につき1000文字で終わらせる!」と決めておきながらもう2000文字いきましたカイです()
作者
作者
この話で何が大変だったかって?アイコン作成だよ()
作者
作者
この状況の中で教室にいそうで描きやすいキャラを選んだつもりだけど…。
作者
作者
次は入間くんが来る…かな?
作者
作者
ではまたっ。バイバイッ。

プリ小説オーディオドラマ