あれは、
わたしがまだ、恋というものについて
未熟どころか
全く知りもしないそんな頃。
中学生のころは、
ごく単純に、
周りで人気のあり、
外見も性格も良かったタカムラくんを
好きだと、、思い込んでいた。
周りに流され飲み込まれるように、
〘中学生になったら
好きな人1人くらいいなければ、、 〙
と、変な強迫観念にかられていたのだ。
あの頃、必死だった。
まわりから
はぐれた存在にならないように。
過剰防衛するのは
自分は何処かで
〘みんなとは絶対的に異なる 〙ということを
気づいていたからかもしれないけれど、、
わたしは幼なすぎて
なにが絶対的に異なるのか
気づけないまま
居心地の悪さを
常に感じていた。
唯一、少し安らげるのは
進学塾で出会った、
大学生のアルバイトの
ふーちゃんの前でだけ。
ふーちゃんがどうしてこの塾でバイトをはじめたのか。
塾生でわたしだけが知っていた。
ふーちゃんは
この塾の卒業生だ。
そして、、、、
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。