今日俺は出荷される
イザベラ 用意はできた?レイ
レイ ああママ
エマ レ……イ
エマが今にも泣きそうな顔で俺を見つめる
ノーマンは顔を歪めエマの頭を撫でる
レイ …じゃあな
イザベラ じゃあ行きましょうか。レイ
レイ ああ
エマ あぁぁぁ!!!!!
エマの叫び声が俺の心につきささる
今にも俺が泣きそうだ
レイの涙は1度も見た事がない
でもレイは6歳の頃からママのスパイになった
多分このハウスの中で一番苦しい思いをしてたのはレイだ
家族が出荷されることを知ってて普通に過ごす
これは僕でもエマでも出来ない事
やっぱりレイが1番すごいや
レイ ここは……?
イザベラ あなたは殺されないわ。来なさい
レイ おっおう
急に言ってきた言葉の意味がわからない
殺されないということは俺は生きれるということ
? やあレイ
イザベラ 今日からレイにはグレイスフィールドハウスの外からのスパイになってもらう
またスパイか?
レイがいなくなって1日目
今日もエマは元気がない
ノーマン エマ……?大丈夫?
エマ …大丈夫……
まあそうだ。ずっと過ごしてきた家族がもう死んでいるのだから
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!