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2021/11/12

第2話

2話 全く記憶にございません
~ 翌日 ~
あなた
(レオちんのコラボ配信、どうだったかな?)
仕事帰りの電車に揺られながら、片手でスマートフォンを開く。

コラボ配信とは、その名の通り複数の配信者同士で行う配信のこと。
特に新人の配信者にとっては、色んな視聴者に自分の存在を知ってもらえる良い機会だ。
あなた
(コラボの回数が増えたら、
 もう少し視聴者数も増えると思うけど……
 でも、今日の配信でもきっとアピールできたよね)
そんな淡い期待を抱きながら開いたSNS。

キーワードを打ち込むなり飛び込んできた言葉の数々に、
私の心臓はどくん、と不穏な音を立てる。
ネットの声
『今日もちーくんかっこよかったぁ^^ なんか新人の子は微妙だったけどw』
ネットの声
『あのレオとか言う人誰? めっちゃちーくんの足引っ張ってて草』
ネットの声
『後輩ならもうちょっとCHIKAGEの顔立てて欲しいよね~』
あなた
(は!? レオちんはCHIKAGEのお飾りじゃないから!!)
思わず声を上げそうになるのを、ぎゅっとこらえる。
憤慨しながら画面をスクロールしていたところで、
レオちんの呟きが遠慮がちに現れた。
レオ
『ごめん。今日の配信はお休みします……』


 *   *   *

あなた
はぁ……
誰もいない職場の休憩室で、私はすっかり取りそびれた昼食を食べていた。
あなた
(レオちん、大丈夫かなぁ……)
ペットボトルに立てかけられたスマートフォンに映る、先日のアーカイブ動画。

動画内では和気あいあいとしたやり取りが繰り広げられているものの――

ちょっとしたところで不器用さを見せるレオちんに、
もしかしたらCHIKAGEのファンをイラつかせてしまったのかもしれない。
あなた
(コラボしたけど視聴者もあんまり増えてないし、
 最近は動画の投稿数も明らかに減ってるんだよね)
あなた
(もしこのまま自然消滅とかになったら……
 無理! 私の生きる希望が!!)
すぐそこで、推しが苦しんでいることはわかるのに。

ファンはいつだって近くで助けてあげられない事実が、今はただもどかしい。
麗奈
先輩! いますー?
テーブルに突っ伏していると、不意に背後でガラッと扉が開く音がした。
あなた
麗奈ちゃん……今から休憩?
麗奈
私は先にもらったじゃないですか。それより早く!
あなた先輩を呼んでって、超絶美人が
あなた
ちょうぜつ……?
麗奈
すっごい綺麗なお客さんなんですよ。
少なくとも絶対こんな銀行には口座作んないでしょって感じの!
とにかく来てください!
遠回しに職場をディスる麗奈ちゃんに引きずられるようにして
慌てて窓口へ戻ると、そこには――
???
久しぶりね。あなたさん
あなた
え、あ、い、いらっしゃいませ……?
ランウェイからそのまま歩いて来たような、
ハイブランドのファッションに身を包んだ美女の前に
私はおずおずと腰かける。
あなた
(久しぶりってことは、前に一回会ったことある?)
あなた
(全然記憶にないけど……でも何か見覚えがあるような……)
???
……何よ、人のことじろじろ見て
あなた
すみません。以前お会いしたこと――
???
ええ。高校時代にね
瞬間。

頭の中で、欠けていたパズルのピースがかちりとはまる。
あなた
あああ!!
それは、年齢を重ねる毎に薄れていた高校時代の記憶。

『被服部のカリスマ部長』として、
圧倒的なオーラを放っていた【男子高校生】と言えば――
あなた
和住わずみあきら先輩……
アキ姉
相変わらず空気読めないわねアンタ!
アタシのことは『アキ姉』って呼びなさい
あなた
アタシ……? アキ姉……?
アキ姉
そうよ。ほら復唱。さんはい
あなた
ア、アキ姉。お久しぶりです……
あまりに強烈な再会に、頭が追いつかない。

目を白黒とさせる私をよそに、アキ姉はカウンターから身を乗り出して声を潜めた。
アキ姉
今日はアンタに用があって来たのよ。
美味しい店予約しといてあげるから、
仕事が終わったら連絡してちょうだい
あなた
え、今夜ですか!?
アキ姉
どうせアンタのことだから暇してるんでしょ?
んじゃアタシ駅前で用あるから、また後でね
香水の強い香りを残して、嵐のように彼(女)が去った後。
カウンターの上に、一枚の名刺が置いてあることに気付く。
あなた
(……名刺には、本名書いてあるんだ)
あなた
(え……BCプロダクション、代表取締役社長!?!?)