ーーーーノウルsideーーーー
私はまた、あの名前を耳にする。
『あなた』
その『あなた』とやらは、またも恨まれているらしい。
2人の可愛い女の子に両腕を捕まれ奥に連れていかれる。
意味のわからない罵声を浴びせられ、
肩を押され壁にぶつかりバランスを崩し倒れる。
痛みで顔が歪み、何か嫌な予感がして見上げると、
力一杯モップを振り下ろそうとしている姿が見えた。
痛みに耐えるため目をつぶるが、
またあの『あなた』と言う名が聞こえた。
次の瞬間、痛みが来るはずが、
痛みどころか、優しく大きな胸に包まれた。
同時に痛みに耐えるくぐもった声がした。
テヒョンさんは、彼女達を一括した。
私はその言い方に違和感を覚えた。
『彼女はもう、ここと関係のない人だ…』
彼女は『もう』?
まるで、前に関わりがあったかの様な言い方。
もう1つ、気になること。
私はこのあたたかい胸を、優しく包む腕を知ってる…
口に出してみたが、
テヒョンさんは、否定して行ってしまったんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!