第2話

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2021/01/16 12:10



「ずいぶんと飲んだみたいだね」


「あーうんー、まぁねー」


「飲まされた? 咲夜さんから」


「違うよ。自分からすすんで飲んだの。美味しかったから」



咲夜とは姉の婚約者だ。


今日、姉は咲夜とデートだった。僕はさらに質問した。



「何を飲んだの?」


「えーと、シャンパンとカクテル」


「何杯?」


「覚えてないよぉー。五杯くらい?」



姉はお酒が弱い。


つまり五杯飲めばベロベロの状態だ。


現に、隣で座っている姉は天井を眺めたままぼんやりしている。


そんな姉の頬はお酒で赤くなっていた。


今日は咲夜とどんな話をしたのだろう。


上手い食べ物を食べてご機嫌な様子だ。


咲夜はなんでも金で解決しようとする。


俺たちは貧乏だから、そういうサービスには弱い。


だからこそ、余計に面白くなかった。


姉のことを一番に想う弟としては、いとも簡単に姉の心を射止められ心中穏やかでない。



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