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第1話

3,357
2021/01/16 11:24


時計の短い針が零時を回ったころ、姉がアパートに帰ってきた。


玄関に行くと、姉がドアの鍵をかけるところだった。



「姉ちゃん、おかえり」


「あれー、春樹まだ起きてたのー? っていうか私が起こした?」



振り返り僕に笑いかける。


今年二十七になる姉は艶のある黒髪をポニーテールにしていた。


服装は白いワンピースに紺色のパンプスは姉が今一番気に入っているコーディネイトだ。



「ううん、起きてたよ」



僕は口もとを緩める。


グロスを塗っている姉の唇が濡れているみたいで綺麗だった。



「そう。ならよかった」



姉はフラフラした足取りでリビングに行くと、そのまま小さなソファーに腰掛けた。


ずいぶんとお酒くさい。


僕は隣に座ると、呆れ顔を見せた。




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