第5話

二人の生徒
6,021
2021/01/20 13:43
〈朝騒動から数日後……〉




 私はみんなと登校しないためにも、先に出た。
あなた

確か学校はこっちだよね。

〈 学校 〉
学校についた私、なんですが……
あなた

不思議だねぇ~。

あなた

私の方が早く家出たはずなのに、皆様席についてるんだもんねぇ~

さとみくんがどや顔でしゃべり始めた
さとみ
ふっ、これが暦年の差だよ。
莉犬
僕らは近道、知ってんだよねー。
ジェル
そうそう。
莉犬
うるさい。
ジェル
俺、嫌われることした?
あなた

あははは……

 すごいよね。関わらないように頑張ろうとしてるのに、関わることになってるんだよね。
私は乙女ゲーの主人公か。
モブ女子A
モブ女子A
なんで、あんな子が……
モブ女子B
モブ女子B
あたし達の方が長く居んのにさぁ
あなた

2人とも、仲良くしようよ……

モブ女子B
モブ女子B
楽しそうにしやがって
モブ女子A
モブ女子A
あの子だけ特別扱いなんてあり得ないっ!
〈 3時間目 〉
あなた

まずは……数学か。

真新しい教科書を……出すはずだった。
鞄をごそごそと漁るが、一向に見つからない。
あなた

……忘れた……?

クスクスとした嘲笑いが聞こえてきた。
 何度も聞いたことのある笑い声だ。
モブ女子B
モブ女子B
バーカ。
モブ女子A
モブ女子A
いい気味ぃ
あなた

…………ほらね。

ななもり
ん?どうしたの?あなたちゃん
あなた

あはは、教科書忘れちゃったみたいで、今からとってきて間に合うかなぁ?

 頭の中で、どこを探しに行こうか考えていると、
声がかかった。
???
ねぇ、鏡枝さん?だっけ?ちょいこっち来て
ドア付近で手招きをしているのは金髪の生徒だった。
あなた

……はい!ちょっと待っててね、なーくん。

ななもり
え?分かった。
るぅと
……?
〈 廊下 〉
 そこには、もう一人、指定の制服ではなく私服の多分生徒がいた。
なんとなく雰囲気が似ていた。
あなた

……どうかしましたか。

???
……なんで、緊張してんの?
あなた

初対面ですから、緊張もしますよ

私は笑った。私服生徒はそっか、というと座り込み、スマホをいじり始めた。
???
そんなにピリピリしなくてだいじょーぶ!
???
教科書、ある?
 金髪の方の人が、数学の教科書を片手に聞いてきた。
あなた

……え?

???
はーい、これ。
 取られると思っていた教科書はすんなり帰ってきた。
あなた

……?

あなた

取ったんじゃないんですか?

???
あー、やっぱ、そう考えちゃう?
???
えっとね……それ、新品。
あなた

え?

裏返してみて、確かに書いたはずの名前が書いてなかった。
???
ごめんね。本当はあんたのちゃんと取り返したかったんだけど!
???
これ……
渡された私の教科書と思われるものに、見るに耐えない罵声が書かれていた。
???
それ、間違えて二冊あたしのとこに来ててさ、せっかくだから使ってよ。
あなた

あ、ありがとうございます。

私は頭を下げた。
???
あ、言ってなかったか。
みりん
あたし、みりん!新崎実凛にいざきみりんっていうの。
みりん
ほら、あんたも自己紹介しな。
 最初にちょっとばかりしゃべった私服生徒は壁にもたれかかって、私たちの様子を見ていた。
???
……
みりん
もう!あんたしゃべれないの?!
 その人はマスクをしていて、服も中性的な服装で性別すら判別できない。
……やっぱり別人かな。
みりん
ごめんね!いつもこんな感じでさ。
会話を聞き、思わず笑った。
あなた

ふふっ。そうなんですね。

みりん
あっ!笑った!
みりん
そっちの方が良いと思う、あんた可愛いからさっ!
 そう言い、ニカッと新崎さんは笑った。
    キーンコーンカーンコーン
チャイムがなり、私は青ざめた。始めての授業で遅れるなんて……
みりん
あ、やば。
みりん
あんた、保健室行きな。
あなた

え?

みりん
今から行ったら、確実に鬼先に絞られるって!
みりん
昨日休んだのを口実にねっ。私は慣れっこだからさ。
そう言い、私の手をつかみ、全速力で走り出した。
あなた

あ、あの!ありがとうございます!

みりん
ふふ。みりん!そう呼んで!
みりん
あと、タメね!
あなた

……うん!

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