ということで、一人寂しくボッチ飯でございます……
〈しおん&ねね視点〉
ねねは頬に手をついて、ため息をついた。
〈あなた視点〉
その後も私は避けられ続け……
私ところんくんは息ぎれして、座り込んでいた。
すぐさっき、私は今日は絶対誰かとぜっったいに帰ると決心し、ちょうど帰ろうとしていたころんくんを追いかけまくった。
〈数分後〉
私たちは、いつも帰る通学路を歩いている。
そう、私はころんくんの手をしっかりとつかんでいた。
ころんくんは黙った。
ころんくんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。無理やりにでも吐かせられると思っていたのだろう。
私が話している時も、ころんくんはうつむき黙っている。
私は笑った。
ころんくんは呟いた
ころんくんは声を荒げ、そう言った後に私と繋いでいた手を振りほどき、走り去ってしまった。
私はしばらくの間、道の真ん中にぼーっと突っ立っていたのだが、はっと我に返った。
そして、日が沈み暗くなった道をとぼとぼと歩きだした。
ガチャ
私は異変が確信へと変わった。
電気がついていない。それに、みんなの靴もない。
不安がじわじわと私に迫る。
私は電気もつけずに、この家の部屋と言う部屋を見回った。
しかし、どこにも誰もいなかった。
出会ってから数ヶ月、仲良くなったと思ったんだけどなぁー。
でも、私もこんな経験がなかったわけではない。
友達に悪口を言われたりすることは多々あった。いじめにも耐えられたじゃん。
私はハッと気づいた。
前は別の世界の人たちだった。でも、人間は酷く強欲で。一度手の届く幸せを味わえば、もう、元の生活には満足できない。
みんなを知らなかったあの頃に戻りたい。それで、いつも通りの私が甘えられない時に。
そうしたら、すべて「元通り」。
私は廊下に座り、壁に背を預けた。
どこかの窓から差し込んでいた月明かりが消えた。
きっと雲に隠れてしまったのだろう。
私は多分悲しい。でも涙はでなかった。
「忘れたい」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!