第24話

戻りたい、忘れたい
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2021/01/23 09:45
あなた

あ、待って。

あなた

(これ私ボッチ飯じゃん。)

ということで、一人寂しくボッチ飯でございます……
〈しおん&ねね視点〉
紫苑
紫苑
はぁー。てかさ。
紫苑
紫苑
プリント取りに行くんなら、職員室だろ?
寧々
寧々
違うのよ。
紫苑
紫苑
は?
 ねねはほおに手をついて、ため息をついた。
寧々
寧々
ちょぉっと、めんどくさいことになってるかもしんないんだよねぇ~
〈あなた視点〉
 その後も私は避けられ続け……
ころん
はぁ、はぁ。
あなた

はぁ、はぁ。

私ところんくんは息ぎれして、座り込んでいた。
あなた

や、やっと……捕まえた……はぁ、はぁ。

 すぐさっき、私は今日は絶対誰かとぜっったいに帰ると決心し、ちょうど帰ろうとしていたころんくんを追いかけまくった。
あなた

い、一緒に!帰ろ!!

ころん
わかった、わかった……から…
ころん
ちょっとタンマ……はぁ、はぁ
〈数分後〉
私たちは、いつも帰る通学路を歩いている。
ころん
あのさ……なんで……
ころん
手つないでんの!?
あなた

近所迷惑だから騒がない!!

 そう、私はころんくんの手をしっかりとつかんでいた。
ころん
ねぇ。これ見られたら嫌なんだけど。
あなた

だって、つないどかないと逃げるじゃん。

ころん
ねぇ、僕ペット?!ペット扱い!?
あなた

……なんで、避けるの。

ころんくんは黙った。
あなた

……そっか。まぁ、いいや。

ころん
え?
 ころんくんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。無理やりにでも吐かせられると思っていたのだろう。
あなた

そりゃあ、言えないこともあるよね。

あなた

私も過去のこと洗いざらい話してる訳じゃないしね

私が話している時も、ころんくんはうつむき黙っている。
あなた

でもさ、ちょっと寂しいな~なんて。

私は笑った。
ころん
……意味分かんない。
ころんくんはつぶやいた
あなた

え?何が?

ころん
あんたの考えてることが、だよ!!!!
 ころんくんは声を荒げ、そう言った後に私と繋いでいた手を振りほどき、走り去ってしまった。
あなた

え?!

あなた

ど、どういうこと……?

私はしばらくの間、道の真ん中にぼーっと突っ立っていたのだが、はっと我に返った。
あなた

私の考えていることがわからない?

あなた

どういうことだろう……

 そして、日が沈み暗くなった道をとぼとぼと歩きだした。
ガチャ
あなた

ただいまー。

 私は異変が確信へと変わった。
電気がついていない。それに、みんなの靴もない。
あなた

……

不安がじわじわと私に迫る。
 私は電気もつけずに、この家の部屋と言う部屋を見回った。

しかし、どこにも誰もいなかった。
あなた

なんでいないの

出会ってから数ヶ月、仲良くなったと思ったんだけどなぁー。
あなた

(自意識過剰だったってこと?)

でも、私もこんな経験がなかったわけではない。
友達に悪口を言われたりすることは多々あった。いじめにも耐えられたじゃん。

私はハッと気づいた。
あなた

きっと、私のなかでみんなの存在は大きくなったんだなぁ。

 前は別の世界の人たちだった。でも、人間は酷く強欲で。一度手の届く幸せを味わえば、もう、元の生活には満足できない。
あなた

(……戻りたい。)

みんなを知らなかったあの頃に戻りたい。それで、いつも通りの私が甘えられない時に。

そうしたら、すべて「元通り」。
あなた

戻りたい。

私は廊下に座り、壁に背を預けた。

 どこかの窓から差し込んでいた月明かりが消えた。
きっと雲に隠れてしまったのだろう。
あなた

(さっきは晴れてたのに。)

私は多分悲しい。でも涙はでなかった。
あなた

(ああ。)

         「忘れたい」

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