第12話

お詫び
1,510
2020/08/01 08:14
…え?俺の店って、



ぶつかった人は、大人っぽい雰囲気で、すごいかっこいい人だった。



こんな人が働いてるお店って…



『あぁ!ごめん!説明してなかったね!』



彼の話を聞くと、名前は〈神崎 誠〉さんで、最近カフェをオープンしたらしい。



それで、バイトを探しているとか…



神崎「どうかな?やってくれる??
あぁ、もちろん給料は払うし、部活とかで忙しかったら全然いいんだけど…」



まぁ、部活もしてないし、それがお詫びになるなら…



「大丈夫ですよ!」



神崎「ほんと?助かるよ!早速明日からお願いしたいんだけど大丈夫かな?」



「はい!」



神崎「学校何時くらいに終わるの?高校まで迎えに行くよ!」



え、そんなことまでしてもらっていいのかな?



「いえ!場所を教えて頂ければ私が向かいます!」



神崎「1番最初だし、いろいろ心配だから迎えに行かせて?」



「すみません。ありがとうございます!」



神崎「じゃあ、高校と、学校が終わる時間教えてもらえるかな?」



「烏野高校で、だいたい15時30分くらいです!」



そう言うと、びっくりしたような顔で、



神崎「え、烏野なの!?
確かに、よく見たら烏野の制服だ…
俺、烏野の卒業生!」



すごい偶然…



「そうなんですか!」



神崎「うわぁ、なんかすごい、運命感じちゃった!」


そう言って笑った神崎さんの笑顔は少し幼くなった。



「何な必要なものとかありますか?」



神崎「制服はこっちが用意するから特にないよ!じゃあ、明日ね!」



「はい!」



バイトとか初めてだけど大丈夫かな?



カフェってどんな雰囲気なんだろう…



あ、そろそろ帰らないと。


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澤村side

あなたがあんなこと言うなんて…



「はぁ……」



菅原「おい大地、いつまで気にしてんだよ!」



スガにはこの気持ち分かんないだろ…



菅原「あなただって本心で言ったわけじゃないんだから!気にすんな!」



縁下「そうですよ。ほら、あなたも待ってますし早く帰りましょう?」



…はぁ、



とりあえず帰るか、



(ガチャ)



「あなたー?待たせてごめんな。」



って、どこにいるんだ?



菅原「あ"」



隣でスガが変な声を出した。



「なんだよスガ。どうかしたのか?」



菅原「これ…」



そう言いながら見せてきたのは、あなたとのトーク画面で、



〈買い物に行くから先に帰る。〉



という内容だった。



…あなたが1人で帰ったってことか?



澤村「悪い、俺先に帰る」



菅原「あ、おい!」



あなたが1人で帰るのはあの日以来だ。



あの事件以来ずっと一緒に帰ってたから。



…嫌な予感がする。



あなたが俺から離れていくような、そんな予感が。



一刻も早くあなたの所へ行かないと。



ここから行くなら、きっとあのスーパーで間違ってない。


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あなたside

そろそろ大地くんに知られたかな?



早く帰らないと心配かけちゃうし急ごう。



(ダダダダ……)



…後ろからすごい足音がする。



誰か走ってるのかな?



そんなことを考えてると、誰かに抱きつかれた。



(ギュッ)



「へぁ!?」



え、ちょっと待って?



こんなに大胆な痴漢ある?ないよね?



どうしよう、大声出すべき?



そんなことを考えてると、風に乗ってその人の匂いがした。



あぁ、間違いない。



大好きな匂いだもん。間違えるはずがない。



その人は痴漢でもなんでもなくて、



「大地くん?」



澤村「頼むから、1人で帰るのはやめてくれ…」



走ってきてくれた、大地くんだった。



澤村「あなたのことだから、あんなこと言っちゃって、2人で帰るのは気まずいから、買い物を理由に1人で帰ろうとでも思ったんだろ?」



…ご名答です、



澤村「そんなのどうだっていいから、だから、絶対1人で帰るな…あの時を思い出すから…



こんなに心配してくれるなんて思っていなかった。



「うん、ごめんね?」



澤村「…反省しろよ?
ほんっとに心配したんだからな?」



「うん、」



振り返ると、



澤村「分かったならよし!じゃあ帰るぞ!」



そう笑顔で言って、手を差し伸べてくれていた。



私はその手をそっと握って、



「心配してくれてありがとう。
大地くん、大好き!」



そう言った。



大地くんの顔はみるみる赤くなって、



澤村「そういうこと言うんじゃないの…」



自分の顔を隠しながらそう言うから、



しちゃいけないって分かっていても、



そんな反応をされると、



私にも少しはチャンスがあるんだと、



期待せずにはいられなかった。



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