…え?俺の店って、
ぶつかった人は、大人っぽい雰囲気で、すごいかっこいい人だった。
こんな人が働いてるお店って…
『あぁ!ごめん!説明してなかったね!』
彼の話を聞くと、名前は〈神崎 誠〉さんで、最近カフェをオープンしたらしい。
それで、バイトを探しているとか…
神崎「どうかな?やってくれる??
あぁ、もちろん給料は払うし、部活とかで忙しかったら全然いいんだけど…」
まぁ、部活もしてないし、それがお詫びになるなら…
「大丈夫ですよ!」
神崎「ほんと?助かるよ!早速明日からお願いしたいんだけど大丈夫かな?」
「はい!」
神崎「学校何時くらいに終わるの?高校まで迎えに行くよ!」
え、そんなことまでしてもらっていいのかな?
「いえ!場所を教えて頂ければ私が向かいます!」
神崎「1番最初だし、いろいろ心配だから迎えに行かせて?」
「すみません。ありがとうございます!」
神崎「じゃあ、高校と、学校が終わる時間教えてもらえるかな?」
「烏野高校で、だいたい15時30分くらいです!」
そう言うと、びっくりしたような顔で、
神崎「え、烏野なの!?
確かに、よく見たら烏野の制服だ…
俺、烏野の卒業生!」
すごい偶然…
「そうなんですか!」
神崎「うわぁ、なんかすごい、運命感じちゃった!」
そう言って笑った神崎さんの笑顔は少し幼くなった。
「何な必要なものとかありますか?」
神崎「制服はこっちが用意するから特にないよ!じゃあ、明日ね!」
「はい!」
バイトとか初めてだけど大丈夫かな?
カフェってどんな雰囲気なんだろう…
あ、そろそろ帰らないと。
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澤村side
あなたがあんなこと言うなんて…
「はぁ……」
菅原「おい大地、いつまで気にしてんだよ!」
スガにはこの気持ち分かんないだろ…
菅原「あなただって本心で言ったわけじゃないんだから!気にすんな!」
縁下「そうですよ。ほら、あなたも待ってますし早く帰りましょう?」
…はぁ、
とりあえず帰るか、
(ガチャ)
「あなたー?待たせてごめんな。」
って、どこにいるんだ?
菅原「あ"」
隣でスガが変な声を出した。
「なんだよスガ。どうかしたのか?」
菅原「これ…」
そう言いながら見せてきたのは、あなたとのトーク画面で、
〈買い物に行くから先に帰る。〉
という内容だった。
…あなたが1人で帰ったってことか?
澤村「悪い、俺先に帰る」
菅原「あ、おい!」
あなたが1人で帰るのはあの日以来だ。
あの事件以来ずっと一緒に帰ってたから。
…嫌な予感がする。
あなたが俺から離れていくような、そんな予感が。
一刻も早くあなたの所へ行かないと。
ここから行くなら、きっとあのスーパーで間違ってない。
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あなたside
そろそろ大地くんに知られたかな?
早く帰らないと心配かけちゃうし急ごう。
(ダダダダ……)
…後ろからすごい足音がする。
誰か走ってるのかな?
そんなことを考えてると、誰かに抱きつかれた。
(ギュッ)
「へぁ!?」
え、ちょっと待って?
こんなに大胆な痴漢ある?ないよね?
どうしよう、大声出すべき?
そんなことを考えてると、風に乗ってその人の匂いがした。
あぁ、間違いない。
大好きな匂いだもん。間違えるはずがない。
その人は痴漢でもなんでもなくて、
「大地くん?」
澤村「頼むから、1人で帰るのはやめてくれ…」
走ってきてくれた、大地くんだった。
澤村「あなたのことだから、あんなこと言っちゃって、2人で帰るのは気まずいから、買い物を理由に1人で帰ろうとでも思ったんだろ?」
…ご名答です、
澤村「そんなのどうだっていいから、だから、絶対1人で帰るな…あの時を思い出すから…」
こんなに心配してくれるなんて思っていなかった。
「うん、ごめんね?」
澤村「…反省しろよ?
ほんっとに心配したんだからな?」
「うん、」
振り返ると、
澤村「分かったならよし!じゃあ帰るぞ!」
そう笑顔で言って、手を差し伸べてくれていた。
私はその手をそっと握って、
「心配してくれてありがとう。
大地くん、大好き!」
そう言った。
大地くんの顔はみるみる赤くなって、
澤村「そういうこと言うんじゃないの…」
自分の顔を隠しながらそう言うから、
しちゃいけないって分かっていても、
そんな反応をされると、
私にも少しはチャンスがあるんだと、
期待せずにはいられなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。