第29話

寂しがり屋
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2020/08/20 16:37
澤村side



映画が終わって、そろそろ寝ると思ったら、



あなた「ラーメン食べたい!」



こんなことを言い出した。



俺もこの時間にラーメンを食べるのは好きだし、



なによりラーメンが大好物だから賛同しようと思ったけど、



あなたは女の子だし、こんな時間にラーメンなんか食べない方がいいよな?



澤村「体にも悪いし、やめといた方がいいんじゃないか?」



そう言うと、頬を膨らませて、



あなた「ラーメン食べるまでは寝ないもん!」



菅原「え、今の可愛い!あなたもう1回!」



隣で携帯を構えてる不審者はあえてスルーをしよう。



こんな可愛く言われたら「ダメだ」なんて言えるはずもなく、結局ラーメンを食べることになった。



あなたがこんなに楽しそうなの見るの久しぶりだし、今日くらいはいいか…





















ラーメンを食べ終わっても、「まだ眠くない!」
って言い張るから部屋でゲームをすることになった。



……のはいいんだが、



あなた「スースー」



この状況はなんだ?



菅原「ちょ、大地ずるい!俺の方にもたれかかってくればよかったのに!」



スガうるさい!あなたが起きる!



ゲーム機を持ったまま俺の肩に頭を置いて寝ているあなたがいた。



その奥ですごい睨んでくる人も1人いるんだが…



あなた「スースー」



あなたの寝顔をこんな風に見るのも久しぶりだ。



…昔から変わってない。



相変わらず赤ちゃんの肌くらいすべすべしてるな。



昔の癖であなたの頬をなぞっていた。



菅原「あぁ!大地!セクハラだ!」



スガの言葉で我に返り、もう一度「うるさい!」と注意をしてからあなたをベッドに寝かせた。















菅原「…なんで高3の男子が仲良く2人並んで寝なきゃならないんだよ!



仕方ないだろ!あなたをベッドで寝かせてるんだから!



ベッドの下に布団を2枚敷いて寝ている。



菅原「あーあ、隣にあなたがいれば抱き枕にしてぐっすり寝れるのに!



俺でよければ抱き枕にでもなんでもなってあげますが…?



菅原「遠慮します。おやすみなさい。



ったく、すぐ変なこと言うからな…












しばらく経つと、スガの方からも寝息が聞こえてきた。



2人の寝息を聞いていると、だんだんと瞼が重くなってきて、いつの間にか寝ていた。



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窓から差し込んだ光が顔を照らす。



まだ重たい瞼をうっすらと開けてベッドの方を見ると、あなたがいなかった。



「どこ行ったんだ……」



トイレかと思い、様子を見に行こうと体を起こそうとすると、



(グイッ)



何かに引っ張られた。



何かと言っても、そっち側にはスガしかいない。



「スガ、起きたのか…って、」



あなた「んぅ…」



あなた!?



昨日ベッドに寝かせたはずのあなたが俺とスガの間で気持ち良さそうに寝ていた。



それと、あなたの小さな手が俺の服を控えめに掴んでいる。



さっき引っ張られたのはこれだったんだ。



きっと俺達が寝た後に目を覚まして、意識がはっきりしていない時に布団の中に入ったんだろう。



昔は1人で寝るのも嫌がってたからな。



今も我慢しているだけで1人は嫌いなんだろう。



寂しがり屋なのも変わってない。



時計を見ると9時の少し前だった。



スガとあなたはまだ起きる気配もないし、せっかくの休みだからもう少し寝ようと思い、布団の中に戻った。



きっと母さんが朝ごはんを作ってくれてるんだろう。



ほんのりいい香りが漂ってくる。


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あなたside


朝ごはんのいい香りがして目を覚ました。



目の前には寝ている大地くんが、



振り返るとスガさんがいた。



…私、昨日どのタイミングで寝たんだろう。



そんなことを考えたのは一瞬で、目の前に大地くんがいるという幸せでいっぱいになった。



何年ぶりに一緒に寝たんだろうか。



大地くん…好きだよ。



いつか、起きている時に言える日が来るといいな。



そう願いながら、もう一度目を閉じた。


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菅原side

あなた「大地くん…好きだよ。



俺が目を覚ましたタイミングは最悪だった。



あなたが大地を好きなことなんて痛いほど知ってる。



だけど、あなたの口からは聞きたくなかった。



何とも言えない痛みが俺を襲ってくる。



あなたから大地と同じ匂いがするのも嫌だ。



…あぁ、もう。



大地なんてやめればいいのに。



それで、



俺のことを好きになればいいのに…
















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