3対3が終わって、時計を見てみると12時の少し前だった。
13時からだからまだ大丈夫だけど、早く行った方が神崎さんたちも助かるかな?
「大地くん。」
澤村「ん?どうした?」
「試合お疲れ様。私、そろそろ行くね?」
澤村「あぁ、そうか。ちょっと待ってろ。」
「え?」
澤村「送ってくから。」
いや、今お昼だし外明るいから大丈夫だよ…
「大地くんは午後からも練習あるでしょ?
明るいし、私1人でも大丈夫だから!」
帰りは迎えに行くからな。
と念を押されてから、カフェに向かった。
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(カフェ)
「こんにちはー。」
カフェに入ると、今までとは比にならないくらいのお客さんで溢れかえっていた。
お昼時ってこんなに混んでるんだ…
夕方しか入ったことなかったから知らなかったな。
神崎「あ、あなたちゃん!ごめんけどすぐに着替えて手伝ってもらえる?」
「はい!」
それからは動きっぱなしで、
お客さんの出入りが落ち着いた頃には16時を過ぎていた。
八神「やっと一息つけましたね…」
「昼間ってこんなに人多いんですね。」
もう少し早く手伝いに来れればよかったかな…
神崎「いや、こんなに忙しかったのは初めてだよ。」
嬉しそうな笑顔で神崎さんが言った。
「そうなんですか?」
土曜日だからかな?
神崎「いやー、やっぱりあなたちゃんのおかげかな?」
「私何もしてないですよ?」
私が来る前からお客さん多かったのに、
なんで私のおかげなんだろう?
神崎「すごい可愛い子が」
(チリンチリン)
神崎さんの言葉を遮るように、
新しいお客さんが来た。
「あ、私行ってきます!」
神崎「行っちゃった…」
八神「自分で気づいてないんですかね?今日来てた人達、ほとんどがあなたちゃんを見に来てたようなものなのに…」
神崎「あなたちゃんは店の看板娘だなぁ。」
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『
いやー、ここのカフェ来てみたかったんだよ!
最近オープンして、店員に可愛い子がいるって噂があるんだよ!』
『
だからってなんで俺なんですか…
及川さんたちと来ればよかったじゃないですか。』
『 誘ったよ!
そしたら、甘いものそこまで好きじゃないから、ほんとに可愛いか確かめてきてよ☆って言われたんだよ!』
『
…ものまね似てますね。
まぁ俺は、塩キャラメルパフェが食べれるならいいですけど。』
お店に入ってきたのは男子高校生2人だった。
あの制服、どこかで見たことあるな…
「いらっしゃいませ。店内でよろしいですか?」
『……。』
ん?なんで黙ってるんだろう、
「あの…?」
『あ、はい!店内でお願いします!』
今はお客さんも少ないし、席はどこでも大丈夫そう。
「お好きな席へどうぞ。」
顔赤くなってた気がしたけど気のせいかな?
そんなことより、あの制服どこの高校だっけ…
こんなことを考えながらお水などを準備して、2人が座った席に向かった。
「ご注文はお決まりですか?」
『シュークリームとコーラで!』
『…この、塩キャラメルパフェお願いします。』
「かしこまりました。」
なんか、塩キャラメルパフェ頼んだ子の雰囲気が月島くんに似てるような気がする。
本人に言ったら絶対怒られるけど、
『めっちゃ可愛くないか!?予想以上なんだけど…』
『確かに可愛いです。』
『声も綺麗だったわ…』
あ、思い出した!
青葉城西の制服だ!
白のブレザーで王子様っぽい制服だから間違いない!
あの制服が似合うなんてすごい…
神崎「あなたちゃん!塩キャラメルパフェ!」
「あ、はーい!」
シュークリームとコーラも持って…
「お待たせしました。
シュークリームと塩キャラメルパフェと、コーラですね!」
『ありがとうございます!』
すごい嬉しそう…
甘いもの好きなところも月島くんに似てるなぁ。
八神「あなたちゃんおつかれ〜」
八神さん、今日何時から働いてるんだろう…
「お疲れ様です!
八神さんは今日何時までですか?」
八神「19時までかな?」
私と一緒だ。
「私たち以外に働いている人っているんですか?」
八神「いるよー!休日の午前中と、平日の最初の時間帯しか入らないからあなたちゃんは会わないかもね!」
「そうなんですね…」
(ピンポーン)
注文かな?
「行ってきますー。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!