あなたside
(ガチャ)
「はーい…って大地くん!?」
目の前には負のオーラをまとった大地くんが…
慌ててドアを閉めようとすると、
(ガシッ)
澤村「なんで閉めようとするんだ…?」
大地くんの力によってこじ開けられた。
やばい…怒られる…
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澤村「それで?なんで嘘ついたんだ?」
会いたくなかったです。
なんて言えるはずもなく、大地くんの圧によって変な汗が流れる。
「い、いや、それは、」
澤村「ん?なに?」
だから、圧がすごいんだって!
しばらく黙っていると、大地くんがため息をついた。
澤村「言いたくないならもう聞かない。
でも、心配するんだからな?俺だけじゃない。スガや縁下もだ。」
私が1番よく分かってます…。
澤村「今日は無事だったからいいものの、次がどうなるか分かんないだろ?まぁ次なんてないだろうが。」
ないよな?とでも言いたいのか、無言の圧をかけてくる。
「はい……」
大地くんに嘘はついちゃいけないと思わされた一件だった。
でも、大地くんって確か…
「大地くん、私がいる場所分かるんじゃ…?」
バイト始める時にそんなアプリ入れたよね、
そう言うと、思い出したのか大地くんの顔がだんだん赤くなった。
「大地くん……?」
澤村「う、うるさい!忘れてたんだよ…!」
照れたように大地くんが言った。
よく見ると、汗もすごくかいていて、私を心配して走ってくれたことが分かった。
澤村「とにかく!もう心配かけるなよ?」
頭をポンっと優しく叩いて自分の家に帰っていった。
自分の顔が熱くなるのが分かって、大地くんが好きなんだと実感した。
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岩泉side
花巻「なぁ、あなたちゃん、お父さんは海外出張って言ってたけど、お母さんは?」
「あなたが小学生の頃に病気で亡くなった。」
昔はよく甘えてた覚えがあるんだけど、今は甘えるというより、我慢してるよな…
松川「昔からあんな感じなの?」
「あんな感じ?」
松川「あの子の笑顔、すごい無理してる感じがしたから。他人に頼らずに自分の中で溜め込むタイプなのかなって。」
「いや、昔はすごい甘えられた記憶がある。」
花巻「あなたちゃんに甘えられるとか幸せ者かよ!!」
花巻のことはほかっとくぞ。
及川「確かに、昔はもっと喜怒哀楽がはっきりしてる子だったよね〜」
松川「今のあなたちゃんからは考えられないね。」
松川は人の観察力がすげぇな。
実際、花巻はただ単に可愛い子としか思ってないし。
及川「あれかなぁ、小学生でお母さんを亡くして、甘え方忘れちゃったのかな…」
小学生から会ってねぇからって、今のあなたのこと知らないってのは嫌だな。
まぁ、知らないってならこれから知っていけばいいだけの話だけどな。
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あなたside
火曜日の放課後。
今日は練習試合をするためにバスに乗って青葉城西へ行く。
澤村「整列!!」
「「「「「お願いしまーす!!」」」」」
武田先生「はーい。」
青葉城西って、一くん達と同じ高校だ。
そんなことを考えてると、隣が騒がしくなった。
田中「おーう日向!食い物やるぞーって、なんだよその顔!」
日向「へ?あ、ちょっと、昨日、眠れなくて…」
本当に顔色悪いな。
「日向くん、飴食べる?」
酔い止めにでもなればいいけど…
日向「あ、ありがとうございま______」
「え、日向くん吐きそう!?」
さっきとは比べ物にならないくらい顔色が悪くなった。
日向「ま、ど、窓開けてもらっていいですか」
「待って!日向くんもうちょっと待っ_____」
日向「おぇっ、_______________」
間に合わなかった……
田中「うわぁーー!!!!!!」
私が急いで出した袋は、龍のズボンを入れておくのに使われた。
日向くん、死んでるけど大丈夫かな…?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。