やっと月曜日になった!
この土日長かった…
朝練の時間だからいつもより早いけど、大地くんと一緒に行けるなら早起きも全然辛くない。
(ピンポーン)
「行ってきまーす」
お父さんも今は海外出張で、誰もいない家にそう言ってから外へ出た。
澤村「おはようあなた。」
「大地くんおはよう。」
澤村「じゃあ行くか!」
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何回も言うけど、やっぱり楽しい時間はあっという間でもう学校に着いた。
澤村「じゃあ、また帰りな?」
「うん、今日は終わる時間まで教室残るね。」
澤村「分かった。じゃあ俺は朝練行くな。」
私も教室行こ。
(教室)
『あなたちゃんおはよう!』
「おはよ。」
夏海「あなたー!!!おはよ!」
「夏海おはよう。」
夏海「待ってたよ!」
「あれ、今日朝練は?」
夏海「今日は久しぶりに休みだった!」
「そっか。」
今日から普通に授業が始まるんだ…
やだなー、
勉強は嫌いなわけじゃないけど、授業は嫌い。
ずっと周りが静かなのが安心しないんだよね。
1時間目は、
「げっ、」
よりによって数学…
嫌いなんだよな、
まぁ、好きな教科とかないんだけどね。
…やっぱり、大地くんの朝練に合わせて来ると眠いなぁ。
今まで春休みで、久しぶりの早起きだったし、
まだ時間あるからちょっと寝よ。
「夏海、ごめんけど少し寝るね。」
夏海「分かった!」
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『あなた、あなた?』
…んん、
『あなた、起きて、』
「なに、」
『もう授業始まるよ?』
「え、?あ、力…おはよ」
縁下「おはよ。気持ちよさそうに寝てたね?」
寝顔見られたとか恥ずかしいな…
「朝練終わった?」
縁下「うん、まぁね。」
「そっか、お疲れ様。」
(ガラガラ)
田中先生「授業始めるぞー」
そういえば田中先生が数学担当だったな…
縁下「あなた寝るなよ?」
「分かってるよ…」
田中先生は寝てる生徒に雑用を押し付けてくる先生で有名だ…。
フレンドリーで生徒との距離が近い分、押し付けやすい(?)んだろう。
田中先生「それで、この公式に代入してーーーーーーーー。」
…なんで数学ってのはこんなにも眠くなるんだろう。
なんか、呪文を唱えられてるみたい。
…………。
田中先生「じゃあ、ここを…加藤。」
『加藤さん、当たってるよ!』
田中先生「加藤起きろー」
(ユサユサ)
ん、
やば!!
「は、はい!」
田中先生「おはよう。加藤。」
「おはよ、ございます、?」
田中先生「寝起きで悪いが先生がさっきした質問に答えろよー?」
さっきした質問って、
寝てたんだってば!
『加藤さん、これ…』
あ、隣の席の瀬戸くんが教えてくれた!
えー、と?
「伊藤博文…?」
(ドッ)
私が答えた瞬間、クラス中が笑いに包まれた。
「え、え?」
瀬戸くんも笑ってる…
田中先生「あー、伊藤博文が出てくるのはなんの授業だ?」
ばかにしてるのかな?
「日本史ですよ?」
…あ、
田中先生「今はなんの授業だ?」
「数学です…」
田中先生「そうだよなぁ?先生は悲しいなぁ、2年連続で担任をやるのに未だに担当教科を覚えてくれてないなんて…」
…嫌味ですか、
「すみません…」
田中先生「それと伊藤博文なんて中学の内容だろ〜騙されるなよ、」
た、たしかに。
よくよく考えればおかしかったな
「もう、瀬戸くん!」
瀬戸「ごめ、ごめん…ククッ」
…笑いすぎじゃない?
田中先生「じゃあ、そーいうことで!加藤は今日の放課後数学準備室の掃除なー」
「え!?そんなの先生がめんどくさいだけじゃないですか!」
田中先生「そうだぞ?」
開き直らないでよ…
田中先生「先生は部活で忙しいんだよなー。
加藤、部活も入ってないし暇だろ?」
暇ですけど…
「わかりましたよ…」
田中先生「おぉ!そんじゃよろしくな!
授業戻るぞー」
縁下「ばかだなぁ…」
「そんな本気で言わないでよ…」
縁下「俺も部活で手伝えなくてごめんな?」
「いいよいいよ。
どうせ大地くん待つんだし、暇なのは間違ってないしさ。」
(トントン)
ん?
「どうしたの?瀬戸くん。」
瀬戸「いや、俺のせいでごめんな?」
優しいな、
「いや、元はと言えば寝てた私が悪いんだから気にしないでよ!」
瀬戸「俺も手伝おうか?」
「いいよいいよ!ほんと気にしないで?」
はぁー、頑張るか…
まだ1時間目だってことは信じたくない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!