第13話

心配性
1,474
2020/08/01 08:00
「大地くん、やっぱり荷物は私が持つよ。」



右手は大地くんと繋いでいて、



左手に今日買った材料が入った袋を持っていたんだけど、



澤村「いいから、俺が持つ。」



頑固なんだよなぁ、



「…ありがとう。」



澤村「おう。」



さっき大地くんに《絶対1人で帰るな》って言われて、



思わず、分かったって言っちゃったけど、



明日から神崎さんのお店で働くことになってるから一緒に帰れないんだよね…



どう言い出そうか、



「ね、ねぇ大地くん?」



澤村「なんだ?」



…言うしかない。



「あのね、明日からの放課後、知り合い(?)のお店を手伝うことになっちゃって…」



そう言うと一気に表情が変わって、



私の右手を握る強さが強くなった。



澤村「知り合い?誰?」



「えーっと、大地くんの知らない人…」



澤村「あなたの知り合いなら大体俺知ってるよ?」



た、確かに…



「えー、と、」



どうしよ、なんて言えばいいの?



澤村「あなた、怒らないから最初から正直に言って?」



…嘘だ、絶対怒るもん。



言わなくても怒られるから神崎さんとの出会いから全てを話した、



澤村「ダメだ」



やっぱり。



「でも、私がソフトクリームで服汚しちゃったせいで…」



澤村「その神崎さんとやらがカフェを経営してる証拠はあるのか?」



「ないけど、」



澤村「じゃあ、どこでやってるのかは?」



「知らない…」



澤村「はぁ……」



…そんな大きいため息つかなくても、



澤村「とにかく、怪しすぎるからダメだ」



「明日迎えに来てくれるもん…」



澤村「明日は部活に来い。」



「そんなことできない!
神崎さんがカフェを経営してないっていう証拠もないじゃん!」



私も最初は怪しいと思ったけど、



話してるうちにいい人だと思ったんだもん。



澤村「…どうしてもっていうなら、どこにいるか分かるアプリを入れろ。」



……ん?



澤村「俺にあなたがどこにいるのか分かるようにするなら行ってもいい。」



それ、ちょっと束縛激しめな彼氏とかがすることじゃ…



「さすがに心配しすぎじゃない?」



澤村「心配しすぎて困ることはないだろ?
もうあんな思いだけはしたくないからな。」



そうだけど…



澤村「どこにいるか分かれば何かあっても俺が助けに行けるから。」



「…分かった。」



澤村「帰りは俺が迎えに行くから。」



「それはいいよ!部活の後で疲れてるだろうし!」



ただでさえ練習きついのにそんなことさせられない…!



澤村「さっき約束したよな?絶対一緒に帰るって。」



こうなった大地くんは、もう私には止められない



「分かった…」



澤村「よし。ほら、もう家着いたぞ。」



そんなに心配しなくても大丈夫なのに、



「うん、じゃあまた明日ね。」



澤村「おう!」



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(家)

今日はいろいろあって疲れた…



明日のお弁当の仕込みしとかないと。



唐揚げは肉を漬け込んでおいて、



卵焼きとアスパラのベーコン巻きは明日の朝でいいな、


エビフライは、すぐ揚げれる状態にして、



肉じゃがは作っておこう。



(調理中)



…よし!



後は明日の朝でいいかな!



これだけだと寂しいから、デザートにゼリーとプリンとフルーツサンド作るか、



私が好きなものだけどね笑



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(プルルルプルルル)



ちょうど作り終わったタイミングで電話がなった。



誰だろ?



『龍📞』



龍?珍しいな…



(ポチッ)



「もしもし?」



田中《お、あなたか?》



「そうだよ。」



田中《あのよ、ちょっと問題起こした1年のやつと5時から朝練することになったから、大地さんにバレないように協力してくれねぇか?》



「5時!?早過ぎない?」



田中《そうなんだけどよ、体育館使えねぇことにはバレーの練習なんかできねぇから、俺が鍵開けてやらないと…》



え、龍優しすぎない?



「分かった任せて!いつもよりゆっくりめに行くね!」



田中《サンキュー!助かる!》



「うん!あと、着きそうになったら連絡するよ!」



田中『うぉー!まじサンキューな!
今度ジュース奢る!』



「ほんと?やった!」



田中《おう!じゃあまた明日な!》



「うん!」



(ポチッ)



龍も先輩っぽくなったなぁ…






お風呂行こ。

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