広い部屋に沢山の料理と飲み物。
それから、女子が好きそうなスイーツの数々。
私が【裏】生徒会に入ることが決まった後、歓迎パーティーをしようとみんなが私を家に招いてくれた。
そこは小さい頃にお爺ちゃん、お婆ちゃんとよくお邪魔していた一ノ瀬おじさんのお屋敷だった。
凪くんはスイーツが盛られたお皿を私に差し出してくれた。
そんなことを思いながらテーブルに置かれたスイーツを口に運ぶ。
凪くんがそう言いながら“彼”が座る席に視線を移す。
その視線の先には大量のスイーツを無表情で頬張る“彼”の姿があった。
凪くんはニコニコしながら“やっぱり”と言う。
不意に凪くんの白くて長い指が私の頬に触れる。
クスッと笑いながら、凪くんはそのクリームを自分の口に運んだ。
凜さんが私を後ろから抱きしめながら言う。
私は思いっきり縦に首を振った。
その言葉の通り、依然として大量のスイーツを嬉しそうに(?)頬張る“彼”にみんなの視線が集まる。
“彼”はそう言うと部屋を出て行ってしまった。
微笑みかけてくれた凪くんに、私も微笑み返す。
私は、何故か私を見ている廉くんの視線に気づき、問いかけた。
廉くんに言われて、昨日“彼”に会ってからの記憶を辿っていく。
────── 理由……?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!