紫耀 side.
『 ねぇ、岸くん。喜んでくれないの、?』
『 いや、すごく嬉しいよ。
でも…
紫耀には新しい恋人を作って、幸せになって欲しい。』
『 は、? 岸くん、何言ってるかわかってるの? 』
『 分かってるよ。 けど、俺はもうこの世にいないんだよ。紫耀は誰かと一緒に、幸せにならないと。』
『 岸くん…、』
俺は何も言えなかった。
ただ、悲しかった。
俺は、岸くんがいないのならば一生1人で生きていたい。
それくらい岸くんが好きなんだ。
それは岸くんもわかっていたはず、
それでも俺を想って頑張って言ってくれたこの言葉は、
いつもの岸くんの優しさなんだろう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。