第8話

二人で突然出掛けた日
225
2019/10/15 13:59
これは水族館に行ってから3日後のことだった。


しかももう午後3時だ。
スマホを見るとなんと冬木から連絡が来ていて、
マジでびっくりした。


しかも内容が、
「今、暇?」
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
いや暇だよ!!
と、親が家に居なかったから叫ぶ。


「暇だよ」と返信した2分後。
急にスマホが音を出した。


しかも曲で。ということは…
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
は?電話とか誰…?
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
…マジかよ。
スマホに映し出された文字は、
『冬木 拓』


一回、両手で頬を叩いたよ。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
も、もしもしー。
れ、冷静に…冷静に。


本当は声が裏返りそうだが、耐える。
冬木 拓
冬木 拓
『あ、あなた?』
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
うん、そうですよー。
名前で呼ばれると心臓に悪い…あー…無理。
冬木 拓
冬木 拓
『今暇ならさ…ちょっとだけ出掛けない?』
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
え!?いいけど…
でもお金そんな無いよ?
冬木 拓
冬木 拓
『そんなお金かかんないってー』
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
よし、どこ行けば良い?
冬木 拓
冬木 拓
『外に出てくれれば良い。じゃ。』
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
は!?ちょ…
ツーツーツー…
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
外って…おいおいまさか。
バッ!っとカーテンを開けると、


スマホをいじりながら相変わらずのイケメンが


マンションの壁に寄りかかっていた。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
準備させてよ…!
待って待って、と心を落ち着かせながら、


用意をする。…いや、二人きり!?


しかもまさかのいきなり訪問かよ!!
私は少しだけピョンっとジャンプして、


今の精一杯喜んどく。
呼吸を整えて、アイツの元へ向かった。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
ごめん、急にどうしたの?
冬木 拓
冬木 拓
…あー、いや、まぁ…後で。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
なにそれ(笑)
冬木 拓
冬木 拓
あ、何時まで良い?
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
うーん…門限は6時半かなー。
冬木 拓
冬木 拓
おっけー。近くの○○行こうぜ。
冬木が言ったその場所は、


スーパーと色んな店が入った所。


フードコートとか、ゲーセンとか、ね。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
いいよ!何する?
冬木 拓
冬木 拓
…ノープラン。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
一つ凄いヤボなこと聞いてもいい?
冬木 拓
冬木 拓
ん?
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
冬木何で私の家来てくれたの?
それは純粋な疑問だった。
夏休みだし部活のオフの日もあるだろうけど、


わざわざ春渡とかもいないのに、


私を誘ってくれた。


死ぬほど嬉しいけど、やっぱり疑問だった。
冬木 拓
冬木 拓
ほら、水族館行ったじゃん。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
うん。
冬木 拓
冬木 拓
そんとき、秋乃が、
あきのん、余計なことしてないよね…?(  ^∀^)
冬木 拓
冬木 拓
お前と春渡がイチャイチャしてるかもなーって言うからさ、ちょっと…
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
ちょっと?
冬木 拓
冬木 拓
なんか、ムカムカしたんだよな。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
…マジか。
冬木 拓
冬木 拓
ずっと何でか考えてたら、一緒に居たくなって。気付いたら走ってた。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
…待て、走ってきたの!?
冬木 拓
冬木 拓
おう。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
さ、流石ですわ…
ごめん、今気付いてしまった。


『ムカムカした』…ありがちな考えだと、


私と春渡が一緒にいたら羨ましい、


みたいな事!?


やば、名探偵かもしれない。


でも、そんなことある!?


残念ながら少女漫画の主人公みたいな鈍感さは、


持ち合わせていない訳でして。
…今確実に顔赤い。心臓の音が凄い聞こえる。
冬木 拓
冬木 拓
お、着いた着いた。
何か食うか。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
タピオカか、クレープか。
冬木 拓
冬木 拓
クレープ。(即答)
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
流石甘党、行こうか。
冬木 拓
冬木 拓
だな。

こうして、二人で出掛けたわけでしたが。


やっぱり、二人で出掛けると、


心臓の音が鳴り止まなくて、


「一緒に居たくなった」「ムカムカした」


なんて聞いちゃったら、


『好きだ』って改めて思った。

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