これは水族館に行ってから3日後のことだった。
しかももう午後3時だ。
スマホを見るとなんと冬木から連絡が来ていて、
マジでびっくりした。
しかも内容が、
「今、暇?」
と、親が家に居なかったから叫ぶ。
「暇だよ」と返信した2分後。
急にスマホが音を出した。
しかも曲で。ということは…
スマホに映し出された文字は、
『冬木 拓』
一回、両手で頬を叩いたよ。
れ、冷静に…冷静に。
本当は声が裏返りそうだが、耐える。
名前で呼ばれると心臓に悪い…あー…無理。
ツーツーツー…
バッ!っとカーテンを開けると、
スマホをいじりながら相変わらずのイケメンが
マンションの壁に寄りかかっていた。
待って待って、と心を落ち着かせながら、
用意をする。…いや、二人きり!?
しかもまさかのいきなり訪問かよ!!
私は少しだけピョンっとジャンプして、
今の精一杯喜んどく。
呼吸を整えて、アイツの元へ向かった。
冬木が言ったその場所は、
スーパーと色んな店が入った所。
フードコートとか、ゲーセンとか、ね。
それは純粋な疑問だった。
夏休みだし部活のオフの日もあるだろうけど、
わざわざ春渡とかもいないのに、
私を誘ってくれた。
死ぬほど嬉しいけど、やっぱり疑問だった。
あきのん、余計なことしてないよね…?( ^∀^)
ごめん、今気付いてしまった。
『ムカムカした』…ありがちな考えだと、
私と春渡が一緒にいたら羨ましい、
みたいな事!?
やば、名探偵かもしれない。
でも、そんなことある!?
残念ながら少女漫画の主人公みたいな鈍感さは、
持ち合わせていない訳でして。
…今確実に顔赤い。心臓の音が凄い聞こえる。
こうして、二人で出掛けたわけでしたが。
やっぱり、二人で出掛けると、
心臓の音が鳴り止まなくて、
「一緒に居たくなった」「ムカムカした」
なんて聞いちゃったら、
『好きだ』って改めて思った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。