あきのんファイトー!!って叫んでやりたい。
だけど、敵側だからなぁ。
でもまぁ、どっちも大切な友達ですからね。
と、考えてる内に、リレーは始まっていた。
二番手に走る、あの後輩裕樹がいた。
気付いたのか、笑顔で手を振ってくれた。
てか、赤組か。
と、まぁ皆声出してるし、目立たなかったけど。
裕樹はしっかり反応してくれて、
笑顔で、ピースしてくれた。
裕樹はそのまま白組を抜かして、三番手へ渡していった。
そうだろそうだろ。
うちの後輩だもん!
と、一年生は残念ながら途中で抜かされて、
一敗してしまった。
こうなると二年は負けるわけにはいかない。
二年生は応援するぞーやらめんどくさいとか。
二年のリレーが始まると、腕を掴まれた。
と、女子に応援席の前側に連れてこられる。
と、現在状況は、
やば、赤組負けてるし!!
そして、私の、私のクラスの前にアンカーが並ぶ。
あきのんが、嫌そうな顔から、バトンが近く付き、
真面目な顔に。まぁあきのんも責任感あるからね。
その後すぐ春渡がバトンを受けとる。
と、今日1声を出した。
それがどちらに向けてか、あるいは二人なのか、
それは自分でも分かってないけど。
ん?あきのん速すぎじゃね?(笑)
春渡とか走ってるとき軽く笑ってるし。
アイツ真面目に走れや。
あー、もう。全く。
と、声を出したら、
あれ?何か気のせいか速くなってね?
まさかこの距離で声届いた?
いや、他の応援もあるし、そんなわけない。
お、抜かせ…いやもう目の前ゴールですけど!
あ、でも。
ゴールのピストルが鳴って
皆が静かながらも、段々ザワザワする。
あきのんと春渡は大笑いしてるけど。
何してるんですかあの二人。
『ただいまの結果──────』
『一位は…赤組です!!』
おぉ、やったー。
てか、あきのんが予想以上に速かった。
春渡も恐ろしかったけど。
一気に皆がうるさくなる。
そして、三年は見事赤組が勝った。
リレーの選手が帰ってくる。
と裕樹の頭をワシャワシャすると、
と、後ろから抱き締められる。
本当に、勘違いさせることよくするよねコイツ。
と、春渡の腕をどける。
その春渡の言葉の意味も、
どうして祐樹を少し睨んでいたのかも、
気のせいだろうし、いっか。
と、私は次の日、案の定。喉が枯れました。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!