はぁぁぁぁ!?
奪っちゃった☆じゃねーーーよ!!
何考えてんのこの馬鹿は!!!
いや天才だけどそういう意味じゃなくて!!
凄い、目と口しか笑ってないけど大丈夫かな春渡?
しかも何故に二人きり強調したの?
ガチギレじゃん、キレたいのこっちなんだけど。
冬木がそう言うと店員さんが奥から返事をする。
いや、気にすんなって言われて気にしない訳ない…
手首をしっかりと春渡に掴まれて、
冬木が見えづらいとこに。
まさか気付いてなかったとでも言うのか?
あのいつも笑顔のまま冷静を保てる春渡が!?
と、私の言葉を遮って、しゃがんでしまう。
春渡はいつもと違う、無理した笑顔でそう言った。
…春渡らしいと言ったら春渡らしいかもしれない。
でも、私が思うに、だけど。
春渡は女子に懐かれやすい。
だから、隠れファンも多かったし。
そういうのを、考えたことないわけではない。
でも春渡が人を好きになるとか、
想像もつかないじゃん。
はーい、脳が停止寸前。
ど、どういうこと?
それはいつから?
てか何で二人とも告白?
駄目だ、頭の整理がつかないわ。
と、悩んでいると、急に雨が弱まった。
私の心は雨なんですけど?(笑)
口をついて出た言葉だった。
私は最低だけど。
色々考えて、私に必要なのは悩む時間。
それも分かってくれると、信じて逃げた。
あれだろ?
逃げるは恥だが役に立つ。
ごめん、春渡、冬木。
こうして、少し小雨の中、
〝初めて告白された日〟
は、私が逃げて終わってしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!