第20話

饅頭の話
182
2019/10/18 14:52
そこには、色も綺麗な、人も少ない海。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
本当に江ノ島の海より綺麗じゃんか…
冬木 拓
冬木 拓
な?言ったろ?
谷澤 春渡
谷澤 春渡
何か穴場って感じだね~
流石秋乃の情報力。(笑)
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
だねー!
冬木 拓
冬木 拓
今日は、これ見てゆっくりしよう。
いつもはしゃいでるから。
谷澤 春渡
谷澤 春渡
賛成、あなたは?良い?
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
勿論、海少し入ろうかなー。
冬木 拓
冬木 拓
その前に、近くに土産屋が並んでいるとこあるから、行かね?
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
行きたい!何か食べたい!
谷澤 春渡
谷澤 春渡
お土産秋乃に買わないとね~
冬木 拓
冬木 拓
じゃあ決まりか。
と、来た道を少し戻って道路に出る。
道を曲がると、そこには人が沢山歩いていた。


海よりここが人気ということは、


美味しいものもあるということで?
谷澤 春渡
谷澤 春渡
あなた~、迷子になるよ?
手、繋ぎましょうか?
と言う、春渡の顔はニヤニヤしていて、


絶対に繋いでやんねぇからって思うほど。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
子供扱いしないでくださーい。
冬木 拓
冬木 拓
でもマジで人多いから、人が多い時だけは裾くらい掴めよ?
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
うん。ありがとう冬木。
こういうところが、私が好きになっちゃった理由。


嫌な事は受け入れて、他の良い案で塞ぐ。


そういうのが冬木の〝優しさ〟


ほんっと、良いヤツすぎるだろ。
谷澤 春渡
谷澤 春渡
あなた…!
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
ん?
春渡の見る先には、美味しそうな饅頭屋さん。
冬木 拓
冬木 拓
走るなよ?
谷澤 春渡
谷澤 春渡
おうっ!
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
うん!
と言って走る馬鹿2人。
冬木 拓
冬木 拓
はぁ…(笑)
私は肉まんを買った。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
春渡と冬木は何饅頭?
谷澤 春渡
谷澤 春渡
僕はピザまん~
冬木 拓
冬木 拓
俺餡まん~(笑)
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
一口ちょうだーい。
冬木 拓
冬木 拓
はい。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
いや、素ですか?
私がそんなこと言う理由は、


餡まんをちぎって渡す…とかじゃなくて、


もう冬木が食べた所を向けて渡してきたから。


だけど春渡みたいな計画性が伺えないから聞いた。
冬木 拓
冬木 拓
うぅん、わざと。早く食べて?
冷めるから。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
は?え?あ、うん?
───あなたは混乱している。
とか!ふざけてる場合じゃない!


あんな優しさの塊がどこ行ったんですか、えぇ!?


〝わざと〟って…どこで教わってきたの…!


春渡か!春渡なんだな!?
…と、心の中ではしゃぎつつ、


冷静に、餡まんをちぎった。
谷澤 春渡
谷澤 春渡
うわ~、そこイチャつかないでもらっていいですか~?僕空気じゃ~ん。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
いっ!イチャついてない!
谷澤 春渡
谷澤 春渡
そーですかー。で?あなたは?
ピザまん、いらないのー?
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
…貰う。欠片ちょーだい。
谷澤 春渡
谷澤 春渡
はいはい(笑)
と、渡してくれる。


春渡は、空気を読むのが上手い。


確かにこれ以上からかわれたら、キレていたかも。
こういう〝優しさ〟は、春渡が一番だと思う。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
二人は?肉まんいる?
冬木 拓
冬木 拓
おうっ。
谷澤 春渡
谷澤 春渡
いただきまーす(笑)
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
───あ、ちょっと!
いつの間にか、肉まんは奪われて、


二人に肉まんを食べられた。


いや、全部とかじゃなくてね。


食べた場所がレッドカード。
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
何してんの…?
今出来る精一杯の笑顔…


いや、ピクピクと口角が上がっているだけだし、
怒っているのがよーく分かると思う。
谷澤 春渡
谷澤 春渡
うん、美味しかったよ?
冬木 拓
冬木 拓
肉まん…がな?(笑)
…あれ、おかしいな。


春渡は通常運転のはずだけど、冬木?


てか、お前ら…
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
こんの……
谷澤 春渡
谷澤 春渡
あ、やば。
冬木 拓
冬木 拓
え?
夏瀬 (あなた)
夏瀬 (あなた)
ド変態がぁぁぁぁぁぁあ!!!!
気付けば、公衆の面前で、


身長175センチ越えのイケメンに、


思いっきり蹴りを入れていた。

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