そこには、色も綺麗な、人も少ない海。
と、来た道を少し戻って道路に出る。
道を曲がると、そこには人が沢山歩いていた。
海よりここが人気ということは、
美味しいものもあるということで?
と言う、春渡の顔はニヤニヤしていて、
絶対に繋いでやんねぇからって思うほど。
こういうところが、私が好きになっちゃった理由。
嫌な事は受け入れて、他の良い案で塞ぐ。
そういうのが冬木の〝優しさ〟
ほんっと、良いヤツすぎるだろ。
春渡の見る先には、美味しそうな饅頭屋さん。
と言って走る馬鹿2人。
私は肉まんを買った。
私がそんなこと言う理由は、
餡まんをちぎって渡す…とかじゃなくて、
もう冬木が食べた所を向けて渡してきたから。
だけど春渡みたいな計画性が伺えないから聞いた。
───あなたは混乱している。
とか!ふざけてる場合じゃない!
あんな優しさの塊がどこ行ったんですか、えぇ!?
〝わざと〟って…どこで教わってきたの…!
春渡か!春渡なんだな!?
…と、心の中ではしゃぎつつ、
冷静に、餡まんをちぎった。
と、渡してくれる。
春渡は、空気を読むのが上手い。
確かにこれ以上からかわれたら、キレていたかも。
こういう〝優しさ〟は、春渡が一番だと思う。
いつの間にか、肉まんは奪われて、
二人に肉まんを食べられた。
いや、全部とかじゃなくてね。
食べた場所がレッドカード。
今出来る精一杯の笑顔…
いや、ピクピクと口角が上がっているだけだし、
怒っているのがよーく分かると思う。
…あれ、おかしいな。
春渡は通常運転のはずだけど、冬木?
てか、お前ら…
気付けば、公衆の面前で、
身長175センチ越えのイケメンに、
思いっきり蹴りを入れていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。