朝だ。
嫌になるくらいに輝いている朝日の光を、カーテンで遮る。そうすると、部屋が真っ暗になる。
下の階から、催促するような壁を叩く音が聞こえる。
「いま、いくの」
小さくか細い声が、乾いてカラカラな喉を通る。
下に降りれば、偉そうに座っている社長さんがいた。
空っぽになっているコーヒーのカップを乱暴に置く。中に少しはいっていた、コーヒーの飛沫が飛んでまた怪訝な顔をする。
黙って、コーヒーのサーバーに手をかけて、入れようとする。
すると、けたましい機械音がして、次には、コーヒーが辺りを汚した。
それを見た社長さんは、顔を真っ赤にして、私の髪の毛を引っ張るの。
「使えないゴミが!!」
「こんな事もできないのね?」
その罵詈騒言をさんざん浴びせられた後に、派手なメイクをした女のに人たちに、連れていかれる。においがきつい香水を浴びせられて、チクチクする洋服を着せられて。髪の毛は、固い液で固めて、重い宝石を着けられて。
輝く舞台に出される。
目がチカチカした。輝くミラーボウルの色は、濃いマゼンタのような色。客たちは、一人一人の女の子を品定めするかのように、見つめている。
その目は、欲情した獣だ。
そして何よりも、泣き叫ぶ少女たちを見て楽しむだけの、変態。
その目が大嫌いだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。