第11話

FinalChapter 真実
32
2021/03/31 01:48
 私たちは肉を食べなきゃ生きていけない体だった。

しかも、人のお肉を食べなきゃいけなかった。

私たちを生んだお母さんは、お父さんのせいで、そういう体にされちゃったんだって言っていた。

お父さんは、俺たちにも手を出した。

 もともとの人格を壊して、子供のころから成長できなくなった、リサ。人を苦しめることでしか、喜びを得ることができなくなった、リア。

 お父さんは最初から、私達に興味なんて持ってくれなかった。

 最初から、私じゃなくても、頭がいじれる、簡単で単純で、純粋な子供ならば。何でもよかったんでしょ。

 お母さんからすべてを奪わなくたって、良かったはずなのに。

 リアからも、お母さんからも、全てを奪ったくせに、なんであの人だけ、善人の皮をかぶって、かぶって、生きていられるの?
 全てを知っている自分だからこそできることがあるの。

 リアは、私と違って成長しているから、悪い事とかの区別がつく、偉い子だもんね。

 でも、私はあのころから成長してないの。ずっと。私だけ時が止まったみたいに。

 ずっと、わたしはこどもだから。あなたがきずつくようなことを、平気でできるの。
  腐敗した体を、もうたべなくていいんだよ。

  これで、たべるのさいごにしようね。

 足を進めた先に、いたのは醜い父親。

  白衣を赤に染めて、何を食べているの?

   おかあさんのかたみのロザリオにぎりしめて、

    「ただいま」って笑うの。


 おかあさんは、こうやって笑うと、とってもよろこんでくれたのよ?おとうさん。
 なんで?みたいな、かおしないでよ。

 そんなこわいものむけないでよ。

 わたしがこうやってもどってきたのは、あなたのせいなんだよ?

 わたしはずっと、ずっと、お父さんのことを、こころのなかではびかしてたんだよ?

 綺麗な思い出にして、じぶんをこわさないようにしたのに。したのに。

 おとうさんはそれをじぶんのてでこわしたんだよ?

 あとずさったって、もうにげられないことくらいわかってるくせに。

 今更逃げようたって、おうじょうぎわがわるいよ。

 リアも、私も、お母さんも、みんなむこうでまってるんだよ。

 だからおとうさんも、早くあっちに行かないと。

 ね、



 お と う さ ん

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