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第8話

誰にも取られたくない
森田への恋心を自覚してからの毎日は、それはそれは大変だ。

今までならどうってことなかった距離でも、ドキドキ音を立てる心臓。

目が合うだけで乱れる呼吸。

体育の授業中、森田がスリーポイントから放ったシュートが決まった瞬間を見せられた日なんかは、人知れず悶絶してる。
松本 雫
松本 雫
我ながら重症……
そんな独り言を呟いたと同時に、キーンコーンカーンコーンと、間抜けな鐘が授業の終わりを知らせた。
【休み時間】
中村 千香子
中村 千香子
……近い
渡辺 稔
渡辺 稔
そう?
別に今までもこんな距離
よくあったと思うけど
みのっちと森田、ちかちゃん、それから私。屋上に4人でそれぞれお昼ご飯を広げている今、私たち以外に人はいない。

ちかちゃんの隣に座って、パンを頬張るみのっちとちかちゃんの距離は、私から見てもいつも通りに見えるけど……。

ちかちゃんには近いように感じるらしい。
中村 千香子
中村 千香子
私が近いって言ったら近いの。
ちょっと離れて……って、
なんでもっと近づくのよ
渡辺 稔
渡辺 稔
その調子でもっと
俺のこと意識すればいいのに
中村 千香子
中村 千香子
〜〜っ、
……もしかして、この2人良い感じなのでは?
松本 雫
松本 雫
……森田?
さっきから遠く見つめてどうしたの
全く会話に入ってこない森田を不思議に思って声をかければ、ハッとした森田とやっと視線が合う。

……変なの。
森田 紘
森田 紘
俺さ……
松本 雫
松本 雫
うん?
森田 紘
森田 紘
元カノに、より戻そうって言われた
───ドクンッ
松本 雫
松本 雫
え……?
森田 紘
森田 紘
昨日、萌……元カノん家行って、
晩ご飯ご馳走になって
森田 紘
森田 紘
帰り際、家の外まで見送りに来て
それで……
渡辺 稔
渡辺 稔
”やっぱり紘がいないとダメなの”
渡辺 稔
渡辺 稔
って、言われたわけだ
森田 紘
森田 紘
っ!?
な、なんで分かったんだよ……!
みのっちの言葉に、照れたような驚いたよう顔をする森田。

ズキズキと痛む、私の胸。

……より戻すのかな?
渡辺 稔
渡辺 稔
お決まりのパターンだからな
中村 千香子
中村 千香子
それで?
……より戻すの?
チラリ、私を気にかけるちかちゃん。
森田はまた遠くを見つめてしまった。
森田 紘
森田 紘
好きってのが、
そもそもよく分かんねぇんだよな
森田 紘
森田 紘
萌といると、落ち着くし
昔から一緒に育ったせいか
やけに安心感がある……
森田 紘
森田 紘
萌に別れを切り出された時も
確かにショックだった。
だけど……
渡辺 稔
渡辺 稔
その気持ちが”恋”なのか
分からないってわけだ
森田 紘
森田 紘
だから、より戻すかすげぇ迷ってる
中途半端はよくねぇし
青い空を見上げながら、大きなため息をこぼした森田は、ふと思い出したかのように私へと視線を向けた。
松本 雫
松本 雫
もう恋なんてしない同盟
……結んだじゃん
自分だって、森田を好きになったくせに。
自分のことは棚に上げて、また元カノとよりを戻すかもしれない森田にズルいことを言った。

森田のことを考えると、応援してあげるべきだってことくらい、ちゃんと頭では分かってる。

背中を押して、元カノのとこ戻りなよって言ってあげるのが友達としての私の役目。

だけど、
森田 紘
森田 紘
松本……ごめん。
同盟のことも、元カノのことも
もう少し、考えさせて
松本 雫
松本 雫
……っ、
誰にも取られたくない。
このまま、森田を引き止めてしまいたい。

例え気持ちを伝えられないまま、今の関係が続くんだとしても……私は、森田の1番近くにいたい。


……最低だ、私。