一方、その頃。
デートの順番を待つ廉は、神社の入り口付近のベンチに座って休憩していた。
そこに紫耀がやってきて、手に持ったラムネを渡す。
弟に対しても毒舌な廉に、紫耀は思わず苦笑してしまう。
紫耀は廉の隣に座り、真面目な口調で尋ねた。
紫耀は紫耀なりに、友達のあなたと兄のことを心配しているのだ。
廉はなんとなく素直に答えるのが照れくさくて、適当な言葉で誤魔化す。
紫耀は廉を見て笑った。
紫耀から見れば廉は頭が良くて、医者としても優秀で、完璧すぎる兄だ。
その兄が本気で恋愛する姿は、紫耀の目にしても新鮮に映るのだ。
笑顔でおどける紫耀に、廉も苦笑した。
でもこんなふうにたまには男兄弟、腹を割って話すのも悪くないな…と廉は思った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!