第37話

💓第33話💓
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2018/10/19 11:42
あなたと廉が幸せなデートを楽しんでいる…その頃。
学校から自宅に戻った涼太は、庭にある手作りのブランコを眺めていた。
小さい頃、あのブランコにあなたと一緒に2人乗りをした。
あの頃から、すでに涼太の初恋は始まっていたのだ。
あなた
あなた
『あなた、おーきくなったら、おにーとけっこんするね』
涼太
涼太
『いいよ』
あなた
あなた
『ぜったいだよ』
小さかったあなたは覚えてないだろうけど、廉と出会うよりも先に、涼太はあなたと結婚の約束をした。
ある日、兄妹だと結婚できないと知ったあなたが泣きじゃくったことがあり、涼太は慰めるのに苦労した。
あなた
あなた
『なんであなたとおにーはけっこんできないの?あなた、おにーがいい』
涼太
涼太
『泣くな、あなた』
あなた
あなた
『ん?なにこれ?』
涼太
涼太
『ゆびわ』
あなた
あなた
『ママがしてるやつ?』
涼太
涼太
『うん。ぼくがあなたをずっとまもるやくそく』
あなた
あなた
『えへへ、やくそく〜!』
あの時の約束も、もう無駄になってしまった。
これからは涼太ではなく、廉があなたを守っていくのだから。
あなた
あなた
お兄、ただいまー!
涼太
涼太
涼太が昔の感傷に浸っていると、デートを終えたあなたが家に帰ってきた。
涼太は胸の痛みを我慢しつつ、なんとか無理やり笑顔をつくる。
涼太
涼太
…おかえり
あなた
あなた
…お兄、あのさ
涼太
涼太
ちょっと出かけてくる
あなた
あなた
えっ?今から?どこ行くの?
涼太
涼太
行ってきまーす!
あなた
あなた
ちょっ、お兄?
あなたの制止セイシも聞かず、涼太は1人で出かけてしまった。
あなた
あなた
(なんかお兄の様子、変だった?私、お兄の気に障るようなこと、したかな…?)
ポツンと家に残されたあなたは、なんだか妙に寂しくなった。
あなたの無邪気な態度が、涼太の心を傷つけているなんて夢にも思わないで…。
1人家を出た涼太はその後行く当てもなく、ぶらぶらと夕暮れの海岸を散歩していた。
あなたのことは諦める…。そう決心したものの、10年以上妹に恋をしてきたのだ。
今すぐに気持ちを切り替えろ、と言われても無理がある。
だから涼太は心から2人を祝福できるようになるまで、しばらくあなたと距離を置いたほうがいいな…と切ないことを考えていた。

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