あなたと廉が幸せなデートを楽しんでいる…その頃。
学校から自宅に戻った涼太は、庭にある手作りのブランコを眺めていた。
小さい頃、あのブランコにあなたと一緒に2人乗りをした。
あの頃から、すでに涼太の初恋は始まっていたのだ。
小さかったあなたは覚えてないだろうけど、廉と出会うよりも先に、涼太はあなたと結婚の約束をした。
ある日、兄妹だと結婚できないと知ったあなたが泣きじゃくったことがあり、涼太は慰めるのに苦労した。
あの時の約束も、もう無駄になってしまった。
これからは涼太ではなく、廉があなたを守っていくのだから。
涼太が昔の感傷に浸っていると、デートを終えたあなたが家に帰ってきた。
涼太は胸の痛みを我慢しつつ、なんとか無理やり笑顔をつくる。
あなたの制止も聞かず、涼太は1人で出かけてしまった。
ポツンと家に残されたあなたは、なんだか妙に寂しくなった。
あなたの無邪気な態度が、涼太の心を傷つけているなんて夢にも思わないで…。
1人家を出た涼太はその後行く当てもなく、ぶらぶらと夕暮れの海岸を散歩していた。
あなたのことは諦める…。そう決心したものの、10年以上妹に恋をしてきたのだ。
今すぐに気持ちを切り替えろ、と言われても無理がある。
だから涼太は心から2人を祝福できるようになるまで、しばらくあなたと距離を置いたほうがいいな…と切ないことを考えていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。