自分が片寄家の養子だったという事実はあなたの世界を一変させた。
兄の涼太のことを考えると、あなたの思考はストップしてしまう。
父や母と同じように、血が繋がってなくてもお兄はお兄だよ!
⋯そう言えたらどんなに楽だろう?
だけど血が繋がってないと知ってしまった瞬間から、涼太はあなたにとって兄ではなくなってしまった。
そんなある日、学園生活で1つの変化が訪れた。
教育実習期間が終了し、白濱が学校を去る日がやってきたのだ。
あなたは自分に惚れている!と勘違いしている白濱は、生徒一人一人に「元気でやれよ」「勉強頑張れよ」と挨拶する中、あなたに、だけ熱いメッセージを残した。
白濱は英語で『明日から教師と生徒じゃなくなるぞ』とあなたの耳元で囁いた。
白濱はさっそく明日から、あなたと付き合う気満々だ。
さらに、放課後。あなたが、1人でボーッと佇んでいると、白濱が笑顔で近づいてきた。
だけどーもちろん英語の成績が最悪なあなたは、なにを言っているのか分からない。
禁断の関係_
それはあなたにとっては兄・涼太との関係だ。
今まであなたは涼太をずっと本当の兄だと思ってきた。
だから涼太にときめいても、その気持ちはいけないものなんだと必死に封印してきた。
だけど⋯。
そうだ、白濱先生の言う通りだ⋯と、あなたはまたまた衝撃を受ける。
白濱は白濱とあなた、教師と生徒の関係のことを、言っているのだが、あなたの脳内ではすっかり涼太とあなたのことに変換されている。
白濱に最高のアドバイスをもらったあなたは、キラキラと瞳を輝かせながら走り出した。
早く⋯1秒でも早く、お兄の元へ!
結果的にピエロになってしまった白濱は、最後の最後までどうして自分がフラれたのか状況を飲み込めないまま、ポツンと1人取り残された⋯。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。