廉との制限時間も過ぎて、あなたは再び神社入り口前にやってきた。
階段の下には、あなたを心配した涼太が、1人で待っている。
涼太はあなたと廉が仲良く手をつないでいるのを見て、思わず眉間に皺を寄せた。
幸せそうに微笑みあっている2人の姿に、嫌な予感が止まらない。
あなた達のほうはといえば、涼太のことなど眼中にない様子で、2人だけの世界に入っている。
あなたは名残惜しそうにつないでいた手を離すと、ゆっくりと階段を下り始めた。
だけどその時、あなたは階段を踏み外してしまった。
下にいた涼太が、あなたの危機を察知して、とっさに階段を駆け上がる。
気づけば宙に浮いたあなたの体を、涼太がしっかり抱きとめてくれていた。
涼太同様廉も手を伸ばしたが、あなたと涼太は勢いよく階段の下に転げ落ちてしまう。
あなたを庇った涼太は、仰向けのまま階段の下に倒れた。
あなたは悲鳴を上げ、廉も慌てて涼太に駆け寄る。
廉は医者らしく、冷静に涼太のケガの様子を見て、応急処置を施す。
その間も涼太は自分ではなくあなたの心配ばかりしていた。
あなたの下敷きになりながらも、涼太はあなたの無事を確認するなり微笑んだ。
あなたは涼太の愛情を痛いくらいに感じ、思わず瞳を潤ませた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。